楽天は7月から社内の公用語を英語に変えます。その意志を楽天の三木谷浩史さんが社員の前で初めて明らかにしたのは2010年1月のこと。

 それから2年かけて徐々に、プレゼンテーション資料や食堂のメニューを英語に変え、スピーチや会議での使用言語を段階的に英語に切り替えてきました。さらに、昇格用件に「TOEIC」のスコアを組み込むことを決定。すると、楽天の東京本社が置かれている品川周辺の英会話教室は、昇進できないどころか降格する可能性すら出てきた楽天社員でどこも満杯状態に。

 こうした施策が功を奏し、楽天社員のTOEIC平均スコアは526.2点(2010年10月)から、687.3点(2012年5月)まで上がり、なかには400点以上伸びた社員も。いまや楽天内の会議の72%は英語で行われており、35%の社員は海外の子会社やパートナー企業と英語でコミュニケーションをとっている。

 なぜ、楽天は社内公用語を英語に変えたのでしょうか。三木谷さんは、「世界企業は英語を話すからだ。これからの日本企業は世界企業にならない限り生き残れない」とその理由を語ります。創業以来「世界一のインターネットサービス企業になる」という目標を掲げていた楽天は、海外展開するにあたり、通訳が入るとお互いの意思疎通がワンテンポ遅れてしまうことに歯痒さを感じていたそう。

 そこで、目に止まったのが、楽天のインド人や中国人の社員。彼らが、わずか3ヶ月で日本語がしゃべれるようになっていたことに気がつき、三木谷さんは終始、英語に触れられるような環境を社内に作り出すことをひらめいた。

 三木谷さんの仮説によれば、一般的な日本の社会人がコミュニケーションレベルの英語を習得するのに必要な時間は「1000時間」。前出のインド人や中国人の社員が、毎日10時間程度は日本語に触れていると考え、3ヶ月経つと彼らの日本語漬け時間はだいたい1000時間を超える計算になるから。
 
 また、三木谷さんは、英語を習得した海外の優秀な人材を迎える重要性についても語る。

 「海外展開を進めるとき、日本人だけで世界を相手に戦えるだろうか。外国人枠の定められた日本のプロ野球と、そういう枠のないメジャーリーグの差を比べてみれば、その答えは明らかだろう。世界中から優秀なプレーヤーを集められるメジャーリーグの方が強いに決まってる。企業も同じだ」(三木谷さん)

 ちなみに社内公用語を英語化するにあたり、各方面で賛否両論が沸きあがりましたが、三木谷さんは心ひそかに「たかが英語じゃないか」と考えていたそう。

 なぜなら、「今後、業務にパソコンが必須なので、パソコンの操作を覚えてください」と「今後、業務に英語が必要なので、英語を使えるようになりましょう」は、同じレベルの話だと思ったからだそう。大胆な仮説を立て、それを実行することを得意とする三木谷さんらしい発想だ。



『たかが英語!』
 著者:三木谷 浩史
 出版社:講談社
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