不動産アドバイザーに聞く。ブラック物件って何のこと?




マンションやアパートを探すときに、「ブラック物件」という言葉を聞いたことはありませんか。いったい、どのような部屋をそう呼ぶのでしょうか。



『不動産屋は見た!』(東京書籍)というコミックエッセイで、ブラック物件について説明する主人公のモデルとなった不動産アドバイザー・穂積啓子氏に詳しいお話を聞いてみました。



■事件、事故が起こった部屋のこと



穂積さんは、ブラック物件についてこう説明します。



「ブラック物件とは、事件、事故(自殺、殺人事件、無理心中、放火、孤立死、暴力団事務所、カルト教団などがあって、入居しようとする人が、心理的に嫌悪する可能性がある物件のことを指します。法律用語では『心理的瑕疵(かし)物件』と言います。



心理的瑕疵(かし)とは、建物の構造や見た目には問題はなく、環境も良好だとしても、住み心地の良さを欠くという点で不動産に心理的な欠陥があると考えるわけです。



このようなブラック物件になった場合、貸主(家主側)は、新しくその部屋を借りようとする人(借り主)に、事前に『それを告知する義務がある』と宅地建物取引業法と民法で定められています。



告知義務がある期間は、自殺や殺傷事件の場合は10年間と言われています」



言われています、という表現について、穂積さんは、

「法律では、告知の期間については決められておらず、これまでの裁判で『10年』という判例があるため、通例的にそうなっています。



実際のところ、事件の内容や個人の感覚、事故に関する周辺住民の記憶、当時の報道内容、事故後の物件の使用状況、物件の種類・タイプなど、事例ごとにさまざまのようです」と話します。



■誰かが一度住めば、告知義務はなくなる



この告知については、大家にとって「抜け道がある」と穂積さんは言います。



「誰かが一度住んで出て行った場合、その後の入居者には、10年未満であっても告知しないでよい、という事例があります。



この解釈を悪用する貸主は多く、実際には貸していないのに書面上で身内の名前を使って一度は貸したことにする、という手口です。露呈した場合は違法にあたります」



現在、これらの物件が急増しているとして、社会問題にもなっています」



では、どのようにしてブラック物件を見抜くことができるのでしょうか。



「近隣の相場より格安な部屋を見つけた場合、その理由を必ず業者に聞いてください。



また、ブラック物件と知らずに入居した場合、発覚するのは、『近所のうわさで事実を知った』というパターンが多いのです。



ですから、近隣のレストランなどお店に入って話を聞いてみるなど、下調べをしておきましょう。



また、それらしき情報を耳にしたら、すぐに仲介した不動産業者に真実を確かめて、対応が悪ければ地域の消費者センターに連絡してください」(穂積さん)



穂積さんは、次のようなアドバイスも加えます。



「一方で、ブラック物件になると、家主は事件や事故に巻き込まれることになり、家賃収入も途絶えて大変困るわけです。



ブラック物件は日本中で増えており、いまや、社会問題にもなっています。



そこで、あらかじめ告知した上で、おはらいなどを施してから家賃や保証金など条件を改定して借り主を募る家主もいます。



また、UR賃貸住宅や公営住宅では、心理的瑕疵(かし)物件であることを公表して家賃を安くしている場合があります」



入居してから気付いたのでは遅い、これらの事実。家賃が安めの部屋に遭遇したら、すぐにラッキーだと舞い上がったり即答をせずに、いったん情報を集めるように心がけたいものです。







監修:穂積啓子氏。「女性の安全な暮らし」をテーマとして、大阪市中央区を拠点に活動する不動産アドバイザー。その活躍ぶりは、コミックエッセイ『不動産屋は見た! 〜部屋探しのマル秘テク、教えます』(原作・文:朝日奈ゆか、漫画:東條さち子 東京書籍 1,155円)に描かれました。同書の主人公「善良なる大阪の不動産屋さん」は、穂積氏がモデルです。





(岩田なつき/ユンブル)