メモをとらないロシアのビジネスパーソン

海外駐在員ライフ Vol.153

From Russia

打ち合わせではメモをとらないロシア人のビジネススタイルとは?


■メモをとらないロシア人

はじめまして。シューリックです。ロシアにある日系企業モスクワ駐在所で、自社製品の販路拡大のための現地取引先との折衝や、市場調査を主な業務としています。周辺のCIS諸国(Commonwealth of Independent States。ソビエト社会主義共和国連邦を構成していたカザフスタンなどの国々)も担当しているため、ロシア以外への出張も頻繁に行っています。

同僚は日本人1人を除き、残りはロシア人。現地取引先との打ち合わせもあるため、仕事で使う言語はロシア語がほとんどです。ただし、取引先とのメールのやりとりは、日本にある本社にも同報する必要があるため、主に英語を使用しています。

ロシアの人々との打ち合わせで特筆すべきなのは、メモを取る人がほとんどいないこと。メモを取らないどころか、ノートすら持ってこないこともしばしばです。前回の打ち合わせで決まったことなどは、すべて記憶に頼って話をするので、受注した製品の数量やユーザー数などの数字については、あいまいだったり、前回とは違う数字だったりすることも。ただし、意図的に数字をすり替えたりしているわけではなく、概ね問題ないレベルなので、さほど業務に支障は生じていませんが…。

次に特徴的なのは、オフィスのセキュリティが厳重なこと。ビル入り口には必ず守衛がいて、パスポートのチェックを経て、ようやくビルに入ることが許されます。テロなどの犯罪が多いためなのではないかと思われますが、特に、研究所や国家機関などの警備は厳重。ロシアでは、ロシア人・外国人問わずパスポートを必ず携帯するため、忘れてしまうことなどはありませんが、ビルに入るのに時間がかかるので、アポイントの時間より少し早めに行くように心がけています。

また、国営系企業の幹部と面談したい場合は、いつ、誰が、何の目的で面談を申し込むのかを記したレターを、面談希望日の1カ月以上前に送らなければなりません。それでも、断られたり、やっと2カ月後に面談がセットされたりと、なかなか思うようにはいかないのが現実。日本でビジネスを進めるのと同じスピードでは事が運ばないのを覚悟する必要があります。


■定時に帰る部下

部下のマネジメントをする上で注意しなければならないのが、現地のスタッフは、基本的に命じられた仕事しかしない傾向があるということ。自分で考え、自分の責任で仕事を進める意識を持たせるように指導しているのですが、まだ十分に浸透したとは言えません。

その上、彼らは原則として残業をしません。当社は9時始業18時終業なので、依頼した仕事が終わっていなくても、何かと理由をつけて定時の18時になれば帰ってしまいます。私が取引先と電話で話している間に部下が帰ってしまったときは、「逃げられた」と思うことも。そのため、大事な仕事は、その日の朝のうちに「これは今日中に頼んだよ」と念を押しておくようにしています。その甲斐(かい)あって、今では「今日中」と言えば、余程の理由がない限り、その日のうちに上がってくるようになりました。

一方、ロシアの企業は10時始業の会社が多く、当社の始業時間である9時過ぎに電話すると、相手がつかまらないことも。10時どころか10時半にようやく出社してくる担当者もいたりして、日本よりもだいぶおおらかな社風なのを感じます。

次回は、ロシアの文化や生活習慣についてお話しします。