住宅メーカー編

業界トレンドNEWS Vol.136

家電量販店による買収など、新しい動きの見逃せない業界。今の注目は「スマートハウス」!


■「スマートハウス」事業への取り組みが活発化。リフォーム・高齢者向け市場にも期待が持てる

住宅メーカーとは、一般消費者から注文を受け、一戸建て住宅を設計・施工するビジネス。主なプレイヤーとしては、積水ハウス、大和ハウス工業、積水化学工業、住友林業、旭化成などが挙げられる。首都圏では、年間施工棟数が1000棟を超える大手のシェアが3割程度。一方、年100棟未満の企業がシェアの4割程度を占めており、規模の小さい企業も存在感を示している。

国土交通省の「建築着工統計調査報告」などによれば、04〜06年における新築持家住宅・分譲戸建住宅の着工戸数は50万戸前後で推移していた。ところが、金融危機や景気低迷による消費意欲の低下などを受け、07年には43万9000戸と激減。さらに、08年は43万4000戸、09年は37万6000戸と落ち込んだ。10年は41万6000戸、11年は42万2000戸と回復傾向ではあるが、それでもピーク時の1996年(着工戸数79万1000戸)に比べると、半分ほどの規模にとどまっている。なお、総務省の「平成20年住宅・土地統計調査」によれば、2008年における総住宅数は5759万戸。一方、総世帯数は4999万世帯で、1世帯あたり1.15戸の住宅が供給されている。そのため、今後も住宅需要が急増するとは考えにくい状況だ。

ただし、新たな事業機会は決して少なくない。その代表例をまとめたのが下の表だ。とりわけ注目が集まっているのが、太陽光発電などの自家発電システム、蓄電池、HEMS(HomeEnergyManagementSystemの略。ITを使って住宅内の消費電力を抑える仕組み)などを組み合わせ、エネルギーの最適化を実現する「スマートハウス」。各住宅メーカーは、家電メーカー、電力・ガス会社などと協力し、太陽光発電システムなどで生みだした電気を効率的に使える住宅の普及を目指している。

こうした流れの中で注目したい動きが2つある。まず1つ目は、家電量販店による住宅メーカーの買収だ。11年10月、ヤマダ電機が中堅ハウスメーカーであるエス・バイ・エルを子会社化した。この事例のように、家電量販店が新築・既築住宅への太陽光発電設備・省エネ家電の設置に力を入れる動きは、今後も活発化しそうだ。2つ目の注目点は、12年7月開始の「固定価格買い取り制度」。これは、太陽光・風力・バイオマスといった再生可能エネルギーによって得られた電力を、電力事業者が一定期間、固定価格で買い取ることを義務づけたものだ。太陽光発電については、09年に余剰電力買い取り制度が始まったことがきっかけで市場が拡大した経緯があるため、今回の「固定価格買い取り制度」によって、さらに勢いづくことが期待できる。そのため、住宅メーカーの「環境ビジネス志向」はさらに加速しそうだ。

住宅は、「衣食住」と呼ばれるように、人々の暮らしを構成する大事な要素だ。従って、住宅メーカーには人々の嗜好・社会の流れを先読みし、新たな「住まい方」を提案する能力が求められる。業界志望者も、あらゆる社会事象が人々の住まい方・暮らし方にどのような影響を与え、それが住宅メーカーのビジネスにどうつながっていくのか考えておくとよいだろう。