話の途中で、「それ、どういう意味?」としょっちゅう聞き返される。会議で発言しても、ザワザワしていて聞いてもらえない……。

そんな悩みを持っている人にはぜひ、NLP(神経言語プログラミング)を活用してもらいたいと思います。NLPとは、コミュニケーション技法と心理療法を中心につくられた心理学の一種です。その見地から「話が伝わらない理由」を分析すると、大きく3つ挙げられます。

(1)錯覚

まずは、「相手も興味を示して当然」「これくらいは理解できるはず」という錯覚です。私たちは自分の説明が相手に伝わらないとき、「物わかりの悪い人だ」と相手のせいにしがちです。しかしNLPでは、「相手の反応が自分のコミュニケーションの成果である」と考えます。期待した反応が得られないのは、自分の言葉や態度が適切でないからだと考えます。

また、相手が小学生なら噛んで含めるように説明するのに、相手が大人だとそれを怠る人が多い。特に頭のいい人や、同じ仕事を何年も続けている人は、説明を端折らないよう気をつけてください。

NLPでは、相手との間に「ラポール」という信頼の架け橋を築くことをコミュニケーションの土台としています。「わかってくれないのは、こちらの説明が足りないから」と自分を省みることで、相手との間にラポールが形成され、伝わる話し方に一歩近づけることでしょう。

(2)自己流

2つめの理由は「言葉づかいが自己流」になっていることです。自分の価値観で言葉を選んでいるため、相手を動かす「影響言語」になっていないのです。NLPでは「LAB(Language and Behavior)プロファイル」という分類に基づき、相手のタイプに合わせた話し方を奨励しています。

たとえば「目的志向型」の人と「問題回避型」の人とでは、影響を与える言葉が違います。目的志向型は自分の目指すゴールに向かって努力するのが大好き。部下がこのタイプなら、「売り上げ目標を達成したら、焼き肉を食いに連れていってやるぞ」と言えば、喜んで仕事に精を出すでしょう。一方、「問題が起こることだけは絶対に避けたい」という「問題回避型」の部下には、「目標を達成できなかったら、部長に呼び出されるぞ」と言ったほうが効果的です。

相手がどちらのタイプかは、質問に対して回答を3つ挙げてもらうことで見抜くことができます。たとえば「なぜダイエットするのですか?」という問いに対する答えが「(1)洋服が着られなくなると困るから」「(2)モテなくなるとイヤだから」「(3)やせたら自信がつくから」というものだったとしましょう。この場合、(1)(2)は問題回避型の答えで、(3)は目的志向型の答えです。3分の2以上を占めた答えがその人のタイプだと判断できますので、この場合は問題回避型ということになります。

(3)存在感のなさ

最後にあなたの話が通じない理由として考えられるのは、「存在感や影響力が発揮できていない」ことが考えられます。人間は重要な人物の言葉には真剣に耳を傾けるもの。もしかしたら、あなたの立ち居振る舞いが、周囲に「軽い人」「自信のない人」という印象を与えているのかもしれません。

実は私もそのタイプでした。若くして役員になったため、ポジションに見合った「重さ」を持ち合わせていなかったのです。そのせいで、会議の場で意見が尊重されないなど苦労しました。

改善するには、落ち着いた低い声で話し、スローな動作を心がけることです。呼ばれて振り向くときも、一呼吸置いてから振り返ると「大物感」を演出できます。逆に名前を呼ばれるのと同時に立ち上がったりすると、「使いっ走り」のイメージになってしまいます。もし社内にお手本にしたい上司がいれば、その人の話し方や動作を真似する「モデリング」が効果的です。