100パーセント、男の浮気を描いた映画。そんな映画、見たことありますか!? しかも、本年度アカデミー賞で作品賞に輝いた感動のサイレントムービー「アーティスト」で、主演男優賞を受賞した話題のフランス人俳優、ジャン・デュジャルダンが、あられもない姿を披露して、浮気男を熱演しているのです。

プレイヤー
 アンソロジー風の構成になっている本作は、9つのエピソードで、さまざまな“男の浮気”が描かれています。そのうち、デュジャルダンが演じるフレッドと、「この愛のために撃て」のジル・ルルーシュ扮するグレッグの、妻帯者なのに浮気せずにはいられない親友同士が繰り広げる、とんでもない(?)エピソードが、プロローグとエピローグに据えられています。

 美しい年上の妻がいるフレッドと、気の強い妻に怒られてばかりの子持ちのグレッグ。パリに住む2人は、妻の目を盗んでは、夜の街に遊びに出かけ、浮気を繰り返しています。

クラブで女の子をナンパするフレッドとグレッグ
 お互いにアリバイになってもらいつつ、妻に怪しまれながらも、浮気がやめられないフレッドとグレッグは、ついにラスベガスへの男2人旅を実現させ、大いに楽しむことに。

フレッドとグレッグはカジノやトップレスバーをハシゴして遊びまくる
 思いっきり羽目を外し、乱痴気騒ぎに酔いしれた2人の行きつく先とは……?

 そのほか、7つのエピソードでも、デュジャルダンとルルーシュは、いろいろなタイプの男の姿に扮し、さまざまな浮気のケースがつづられていきます。

 「ロリータ」というエピソードでは、妻と子と幸せな家庭を築いている歯科医のエリック(ルルーシュ)が主人公。彼は長い間、愛人関係にある若い女子大生に夢中ですが、奔放な彼女に振り回されてばかりで、自分を見失ってしまいます。

 断酒会のように、浮気話を語り合い、立ち直ろうとする集会をコミカルに描いた「浮気男 友の会」は、すごく笑えました! これ、フランスに本当にあったりして!?

女性カウンセラー(?)の指導を受ける浮気男たち
 私が特に気になったのは、「良心」というエピソード。結婚14年目のサラリーマン、ローラン(デュジャルダン)は、出張先でどうにかして浮気を試みようと奮闘しますが、なかなかうまくいきません。その間、彼は何度も妻とオンラインで顔を見ながら通話しています。全くカッコよくないローランを演じるデュジャルダンの演技が秀逸だなぁ、と思ったら、このエピソードの監督は「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウスでした。

 本作で七変化を見せるデュジャルダンは、製作、脚本、監督も務めています。なんと、「質問」というエピソードでは、妻であるアレクサンドラ・ラミー(「Ricky リッキー」などに出演している女優)と夫婦役を演じ、浮気を問い詰められる夫に扮したデュジャルダン。実生活で夫婦の2人が演じるこのストーリーは、とても生々しく、心に残りました。

ハリウッドもとりこにした多才なジャン・デュジャルダン
 もう、これでもか、ってくらい男の浮気のオンパレードで、目のやり場に困る浮気現場、浮気の心理、浮かれるマヌケ面、惨めな姿などを見せられ、「本当に男ってヤツは……」とあきれてしまいますが、ここまで赤裸々に男の浮気を取り上げた作品は、ある意味、とっても貴重かも!? 男の実態がよく分かります。

浮気がバレて妻と危機的状況に陥ったら落ち込むしかない!?
 全てのエピソードを通して見て感じたのは、男の浮気心は本当にどうしようもないけれど、結局、本作に登場する浮気男たちはみんな妻を愛していて、「妻に見つかったらどうしよう」「妻に捨てられたら困る」と、最終的には妻の元に戻ろうとしており、浮気は妻がいてくれるからこその“お遊び”なんだなということ。でも、私は「男は浮気をして当たり前」なんて考え、絶対に許しませんけどね!!(笑)

「男の浮気心を取り上げた映画」DVD紹介

「七年目の浮気」


 地下鉄の通風口の風で、マリリン・モンローの白いドレスが舞い上がるシーンが有名な、ビリー・ワイルダー監督による傑作コメディー。出版社の編集者リチャード(トム・イーウェル)は、妻と息子を避暑地に送り出し、つかの間の独身気分を味わっていた。そんなとき、アパートの上の階に美人のCMモデル(マリリン・モンロー)が引っ越してきて、浮気の虫がむずむずし始めるリチャード。精神病医によると、結婚7年目の男の浮気心を「7年越しのムズムズ」と呼ぶらしい。リチャードは、ちょうど結婚7年目だった。マリリン・モンローがコメディエンヌとしての魅力を存分に発揮しているのが見どころ。

1955年/アメリカ/マリリン・モンロー、トム・イーウェル
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン/Blu-ray4935円、DVD<特別編>1490円/8月3日発売予定
「夜明けの街で」


 ミステリー小説で有名な東野圭吾が、初めて恋愛をテーマに執筆した同名小説の映画化作品。大手建設会社に勤める41歳の渡部和也(岸谷五朗)は、優しい妻の有美子(木村多江)と可愛い一人娘と幸せに暮らしていた。ところが、あるきっかけから31歳の派遣社員、仲西秋葉(深田恭子)と親しくなり、クールなようで、時折、不器用そうな態度を見せる秋葉に引かれた渡部は、彼女と一線を越えてしまう。東野圭吾いわく、「怖いラブストーリーに仕上がっている」という本作は、軽い気持ちでした浮気から、どっぷりとはまっていく不倫の泥沼を描いている。

2011年/日本/岸谷五朗、深田恭子
角川書店/DVD特別版4935円/発売中