一度辞めた会社にあなたは戻れますか?

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 会社を経営していく上で何よりも大切なのが「人」。そこで働いている人たちが良いサービスをお客様に提供することができれば、顧客満足度も上がり、会社の売上は伸びていくはずです。そのため、社員教育は経営の中で欠かすことができません。
 しかし、手塩にかけて育てた社員も、社風に馴染むことができなかったり、実力を発揮できなければ会社を辞めざるを得なくなります。

 では、人が辞めない企業とはどのような企業なのでしょうか。
 『また、あの人と働きたい』(黒岩功/著、ナナ・コーポレート・コミュニケーション/刊)は、関西圏で人気のフレンチレストラン「ル・クロ」のオーナーである黒岩氏が人材育成について執筆した一冊ですが、なんとル・クロは創業から12年間で、求人広告を2回しか利用したことがないそうです。これは人材の流れが激しい飲食業界としては驚くほど少ない数字だといえます。
 その理由のひとつが、一度辞めた人が戻ってきて活躍をしているから。
 では、どうしてル・クロに出戻り社員が多いのでしょうか。その理由を本書から2点、ご紹介します。

■「お金以上の価値」がある労働環境にする
 給料額は、今の自分の実力を示す指標。だからこそ、給料の高い職場に転職するという選択肢は、働き手からいえば当然考えることです。
 しかし、そうしてよりよい条件を求めてル・クロを巣立った人たちは、出戻ってくる際に、お金じゃないということに気づいたと言うのだそうです。自分の成長や仕事のやりがい、お客様への向き合い方。お金以上の価値を感じながら働ける職場を求めて戻ってきます。
 ル・クロの理念は「キャリテ・プリ」といい、「支払う価格以上の満足度」を意味するフランス語。お客様に良いサービスを提供するため、キャリテ・プリを追求できる場がそこにはあります。ル・クロには従業員にとって、お金以上の何かが存在しているのです。

■社員がいい辞め方をできる工夫をする
 出戻りが多いということは、逆に言えばしこりのない辞め方をしているということです。去る側にわだかまりが残ってしまえば、なかなか「戻りたい」と言い出すことはできません。
 黒岩さんは「スタッフたちは、人が辞める様子を実によく見ている」といい、自分たちもいい辞め方ができるように最大限の努力をしたいと思っているとつづります。3ヶ月前、あるいは半年前から準備し、しっかりと仕事を引き継ぐ。これまで一緒に働いていた仲間に敬意を払い、迷惑をかけない辞め方ができるようにアドバイスをするのです。
 また、いい辞め方をしている組織は、外から見てもわかると黒岩さんはつづります。辞めた人間はル・クロで働いていたことを誇るように話しますし、働いているスタッフも辞めた人間について包み隠さず話せるという信頼関係があるからこそ、「ル・クロならきっと安心だ」と思ってもらえるのです。

 もし、自分が勤めている会社を辞めたとき、その会社にもう一度戻ろうと思うでしょうか。それは辞めないとわからないことなのでしょうが、ル・クロのように辞めた人が続々戻ってくる職場があるのは事実です。
 本書は、上司や経営トップ陣の目線から、社員がやりがいを持って生き生きと働ける職場づくり、人間関係づくりについて述べられています。お金以上の何かがある、社員が生き生きと仕事ができる、そんな環境づくりをする上で本書は大いに参考になるはずです。
(新刊JP編集部)