瞬時に視力が回復する! レーシックの「効果の高さ」と「安全性」を再確認

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6月15日、日本アルコン株式会社によるセミナー「レーシック手術の現状と課題」が開催された。

現在、日本で視力矯正を必要とする人は8,700万人にものぼるといわれており、年間で40万件ほどとされるレーシック症例数は、今後も増加することが予測される。

こうした背景から、今後は一般の方にとっても、レーシック手術に対する正しい知識を持つことが、より重要になっていくと考えられるという。

レーシックとは、「Laser in situ Keratomileusis」というギリシャ語の頭文字をとったもので、「角膜上に行うレーザー治療」という意味になる。

慶応義塾大学医学部眼科学教室教授の坪田一男氏によれば、「1990年にギリシャの医師が考案して以降、安定した手術結果から、今日まで世界中で約1,800万件の手術が行われている」とのこと。

アメリカで1995年、日本では2000年から、それぞれFDA、厚生労働省がレーシックに使用するレーザーを認可したことで普及していった。

現在、アメリカでは年間100〜150万件、日本でも40万件の症例数があるという。

1997年から15年間、5万人以上の患者を手術してきたという坪田教授は、こう説明した。

「レーシック手術とは、角膜の中に新しいレンズをつくるようなものです」具体的な手術の流れとしては、点眼麻酔を行ったのち、フラップと呼ばれる薄い膜状に角膜表面を削り、めくって現れた角膜の実質層にレーザーを照射して一部を削る(蒸散させる)。

こうして角膜の屈折矯正を行い、めくっていたフラップを戻すことで、近視、遠視、乱視など、あらゆる屈折異常を治療することができるという。

会場では手術内容の紹介として、坪田教授が娘さんに手術を行った様子がモニターに映し出された。

手術時間はわずか15分程度。

さらに手術が終わった瞬間、「わー! 前よりよく見える!」という娘さんの声が聞こえたところで「術後すぐに視力が回復するのもレーシックの大きな特徴のひとつです」と語った。

2009年、都内の眼科診療所で角膜矯正屈折手術(レーシック手術)を受けた患者が角膜感染症に罹患(りかん)する事件が起きた。

この発覚以降、手術に対する多くの偏見やレーシック難民が生まれたのではないだろうか。

しかし、坪田教授はいう。

「レーシックは安全な手術です」第一に、手術を行うにあたっては「角膜の厚みが十分でない(手術後の角膜の厚さを400μm以上残さなくてはいけない)」「近視や乱視の度合いが非常に高い」など、不適応となる基準が明確に設定されている。

このため、手術にあたっては念入りな事前検査が行われるのが当たり前だそうだ。

こうした情報については、「安心LASIK(レーシック)ネットワーク」内の、「安心の条件」「10のチェックテスト」といったコンテンツに詳細なポイントが紹介されている。

病院、クリニック、医師を選ぶ際は大いに参考にしてほしいとのこと。

このほか海外の大規模な調査でも、手術後5年間の追跡調査を行ったところ、回復した視力は5年間ほぼ変化がなく、視力に影響するような重篤な合併症も現れなかったという。

さらに、全調査期間中を通して80%以上の人が満足し続けているという結果も出ている。

この80%という数字だが、20〜30代の若い世代ではほぼ100%が満足していたのに対し、希望通り近視の矯正で視力は1.5まで回復したものの「やっぱり老眼で遠くが見えにくい」などの理由で40代以降の人が「やや不満」と回答した例が多かったという。

ちなみに「やや不満」までを含めると、全期間でほぼ100%となる。

続いて、アメリカ・クリーブランドクリニックのロナルド・クルーガー氏が、アメリカの最先端治療の現場について語った。

先述したように、レーシック手術では角膜表面を削ってフラップをつくるが、この際、以前はマイクロケラトームという電動カンナのような機械を使うのが主流だった。

しかし現在では、「フェムトセカンドレーザー」という新しいレーザー光線を照射する機器を用いた術式がシェアを拡大しているという。

この点についてクルーガー氏は、現在使用しているアルコン社の製品を例に挙げ、「操作性が高く、手術中の眼圧上昇が抑えられ、薄く均一なフラップが従来の約1/3の速さでつくれる」など、治療の正確性・安全性を向上させる機器を用いた手術システムの台頭をアピール。

最後に「今後は日本にも、こうしたスタイルがどんどん導入されていくことを願っています」として講演を締めくくった。