医薬品卸編

業界トレンドNEWS Vol.135

この業界で強く求められている「BCPの構築」。BCPとは?


■薬局など小口顧客への販売比率が拡大。医薬品情報の提供など、本業強化の重要性が高まる

経済産業省の「商業動態統計調査」によれば、2011年度における医薬品・化粧品卸売業の市場規模は25兆9130億円。09年度(24兆8110億円)、10年度(25兆8580億円)に比べ、微増傾向だ。背景には、高齢化に伴う医療費の高騰がある。ただし、政府はふくれあがる医療費を抑えるため、10年4月に薬価引き下げを実施。さらに、業界内の競争が激化して納入価格の値下げ合戦が起こっており、各社の収益を圧迫している。

医薬品の約85パーセントは、病院などの医療機関で治療に使われる「医療用医薬品」。街中のドラッグストアなどで販売される「一般用医薬品」は、15パーセント程度に過ぎない。そのため、メディパルホールディングス、アルフレッサホールディングス、スズケンホールディングス、東邦ホールディングスといった医薬品卸にとって、医薬品メーカーが生産した「医療用医薬品」を病院や調剤薬局に販売することが収益の柱となっている。なお、医薬品産業には、「多品種少量供給が基本」「命に直接関わる商品を扱っているため、薬事法などの法令・規則が厳格」「医療用医薬品については、国が定めた『薬価基準』によって価格が決まっている」などの特徴があることを知っておこう。

薬価の抑制・競争激化という逆風に対し、各社は事業範囲を広げることで対応を図っている。まずは、「川上」に乗り出す動きに注目。例えば、アルフレッサホールディングス傘下の医薬品メーカーであるアルフレッサファーマは、09年11月に岡山工場を増強。従来からの自社製品生産に加え、受託製造にも力を入れる方針を明らかにしている。一方、「川下」への取り組みもある。メディパルホールディングスは、10年5月に調剤薬局のクオール、ドラッグストアのグローウェルホールディングスと共同で新会社ジーエムキューを設立。地元に密着した調剤薬局型ドラッグストアを展開中だ。ほかにも、化粧品や動物用医薬品、医療機器など、医薬品以外の商材を拡充する動きが活発になっている。

海外進出も本格化しつつある。メディパルホールディングスは09年10月、三菱商事、そして中国の大手医薬品卸である国薬ホールディングスと提携。アルフレッサホールディングスは11年3月に、伊藤忠商事と、中国東北地方最大の薬局チェーンである成大方円を傘下に持つ遼寧成大股份有限公司と提携した。このように、国内医薬品卸の強みである、効率的な医薬品物流・トレーサビリティー(traceability:直訳すると「追跡できる」という意味。生産から販売・廃棄までの流れや、製品の素材などをさかのぼって確かめられること)の確立で「高付加価値医薬品流通」を実現し、中国など海外で販売網を拡大する試みは、今後も続けられそうだ。

医薬品の情報提供力を高める取り組みも目立ってきた。社団法人日本医薬品卸業連合会によると、1992年度における医療用医薬品の販売先のうち、薬局の占める割合はたったの5.2パーセント。ところが、2010年度には50.8パーセントに達している。近年、大病院より小規模なクリニックが増え、それに伴って周辺の調剤薬局も増加しているからだ。小規模な調剤薬局では、医薬品の情報提供に対するニーズが大きく、医薬品卸各社はサポート体制の構築に努めている。また、災害時にも安定した流通を維持するため、物流網を強化する企業も多い。