[其ノ二 FXプロディーラーの視点!]金利差トレードはもうはやらない!?
地獄のような円高が一服し、そろそろ「高金利」をテーマに外貨投資を始めたい時期。しかし、プロの「金利」に対する考え方は個人投資家とはまったく別物だった!


日米欧がゼロ金利の今、「金利差」は為替のテーマになりづらい

10年以上、空前の低金利が続く日本では、豪ドルなど外貨の高金利に引かれてFXを始める個人投資家が圧倒的に多かったように思います。

ただ、現状では日米欧の先進国が軒並み超低金利政策をとっており、金利をテーマに為替市場が動く状況ではないことも事実です。

確かに、豪ドルやNZドルなどは日本円に比べて明らかに高金利といえるでしょう。しかし、米ドル、円、ユーロという主要通貨で金利差がテーマになりづらいと、取引高の少ない高金利通貨もその影響を強く受けます。

つまり、いくら高金利だからといっても、単純に金利が低いところから高いところへ資金が流れ込んでいくことにはならないわけです。

為替市場は現状よりも、物事の先々を見て動く傾向がとても強いもの。仮に金利差を目的にFXの投資をするときも、目の前の金利ではなく、先行きがどうなるかが最重要です。そういう意味で今、一番注目されているのは、「経済が復調してきた米国がいつ利上げに動くか」。

米国の政策金利を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)は、昨年8月に現在のゼロ金利政策を2013年半ばまで続ける方針を発表し、その後、その期間を2014年後半まで延ばしました。

しかし最近、米国では失業率の改善傾向が顕著になっています。今年の11月6日に迫った大統領選挙に向けて景気回復期待が高まれば、"2014年までない" とFOMCが宣言した利上げの前倒し期待が高まることも考えられます。そうなれば、為替レートが米ドル高(円安)に向かうのは明らかでしょう。

日銀が予想以上の追加緩和に動かないと再び円高進行も…

対する日本では長年、低金利が続き、為替レートと金利の関係性が非常に希薄になっています。デフレが続く以上、日本銀行が利上げする可能性は皆無。市場関係者の注目ポイントも、日銀が「予想以上の金融緩和をするのか」、それとも「予想通りのことしかしないのか」です。

今、世界中の投機筋は円安をにらんで円売りの残高を積み上げています。日銀がさらに予想以上の追加緩和に動くようなら、円売りが加速して、1ドル=85円から87円まで円安が進む可能性も十分あります。それだけに、反対に予想を裏切って追加緩和に動かなかった場合は、失望感や新規の円買いで1ドル=79円を下回る円高トレンドが復活してもおかしくありません。

かつては、低金利の日本円を調達して高金利の外貨で運用する「円キャリートレード」が大流行しました。その後、欧米各国もゼロ金利路線に突入したことで「ドルキャリートレード」「ユーロキャリートレード」も発生しました。

しかし、世界の主要国の多くがゼロ金利になっている今、わざわざ通貨の売買をして、リスクを取ることにメリットは見つけにくいのも事実。キャリートレードがいまひとつ盛り上がりに欠けるところも、為替がトレンドレスな状況に陥った要因といえますね。

ただ最近は、金利差だけでなく、ユーロ危機、米国雇用統計、各国の大統領選挙といったテーマに関しても、その影響度が薄まっています。

為替市場は次のテーマ待ちといった状況。その主役テーマになりそうなのが「米国経済の復調による利上げ前倒し。その結果としての円安・ドル高期待」といえるでしょう。




【爆笑マネー漫画FX編】下がるかもしれない高金利の巻

実は、この絵の当初の豪州の金利は4.25%でした。それが5月1日の大幅利下げで3.75%となり、豪ドルは急落(&急きょ描き直し)! いつ引き下げられるかわからない、高金利なのです……。



【今月のカリスマ軍師】上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム専務取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長として活躍。現在はFXプライム専務取締役。


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この記事は「WEBネットマネー2012年7月号」に掲載されたものです。