「現政府に文句があるなら、勝手に独立国家をつくっちゃえばいい!」

 そう持論を展開し、実際に独立国家をつくり、自らを新政府の首相と名乗っているのが、異端の建築家・坂口恭平氏です。

 34歳で妻子のある大人が自らを首相と言うのは、いささか不思議な光景ではありますが、本人は本気。そして、各界からも注目を集めているのです。

 坂口氏の新政府立ち上げは、震災後の政府の対応がきっかけ。原発問題で政府からはっきりとした報告が国民に無いなか、奥さんの知り合いの国会議員の家族が、3月15日に海外に避難していたのです。政府は、危険だということを発表せずに、身内だけを海外に逃したのです。

 「僕は、逃げるべきだと知りながら言わない政府というのはもはや政府ではないと認定した。つまり、現在は無政府状態なのである」と、坂口氏。

 政府がないのはまずいから作ってみようと動き出したのが、今回の新政府です。とはいっても、本当に政府を作ることなんてできません。坂口氏は新政府活動を「芸術」と位置づけているようです。確定申告でも、新政府活動で使った経費は、すべて芸術の製作費としています。

 坂口氏は震災後に熊本県に移住すると、すぐに新政府を立ち上げました。新政府の首相官邸は熊本市内にある築八十年の一戸建ての家。敷地面積は200平方メートルで、家賃は3万円です。この首相官邸をゼロセンターと名付け、東日本全域から逃れてくる人たちの避難所として活用しました。宿泊費・光熱費は0円。新興宗教かと勘違いされることもあったそうですが、一ヶ月で宿泊した人数は、なんと100人を超えました。熊本県知事直属の政策参与小野泰輔氏がゼロセンターを訪れたことで、熊本県との外交もはじまりました。

 文部大臣は、かねてから交流のあった文化人類学者の中沢新一氏に。厚生労働大臣には、被曝の恐ろしさを教えてくれた映画監督の鎌仲ひとみ氏を任命。その他にも坂口さんの知人がどんどん大臣になっていきました。その場にいて空気が和めば和み大臣、マッサージ大臣や電話番号大臣というのも生まれました。人それぞれの才能を重視しているのです。

 そんな坂口氏がいま空想しているのは、新聞の全面広告で新政府の宣伝をしてみたいということ。ツイッターのフォロワー数は12000人。1000万円あれば全面広告を出すことができるので、1人1000円ほど集められたら派手な広告がうてます。そして、そこでのキャッチコピーは既に決まっているようです。

 「あなたは何大臣ですか? 新政府はあなたの才能を求めています。今すぐお電話を! 坂口恭平新政府内閣総理大臣 tel.090-○○○○-○○○○」と。


※書籍には電話番号が記載されています。



『独立国家のつくりかた (講談社現代新書)』
 著者:坂口 恭平
 出版社:講談社
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