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世間では「婚活」が花盛りだ。しかし、インスピレーションで相手を選ぶと結婚後に後悔することになりかねない。理想の結婚をするには、相手に求める条件について婚活前に煮詰めておく必要がある。

このように物事を深めて考えたいときに活用したいのがロジックツリーだ。ロジックツリーは、上位概念を下位概念にブレークダウンしてツリー状に図示する手法である。ツリーが伸びれば伸びるほど、物事を構成する要素が詳細化・具体化されていく。コンサルティングの現場では、問題の原因を洗い出したり、解決策を導き出すときによく利用されるフレームワークのひとつだ。

ここではロジックツリーの使い方を、結婚の条件を例に説明しよう。実際こんなふうにして相手を選ぶ人はいないかもしれないが、たとえば相談所に条件を問われたとき、「その場の思いつき」で条件を並べた後に「○○を言い忘れた」とならないよう、要望を整理するために用いるといい。

まず結婚相手に求める条件を大別すると、一般的には「外見」と「内面」という下位概念が浮かび上がるだろう。次に「外見」を分解することで、「身長」「体重」といった具体的な条件が明確になる。最初は漠然としていた「見た目の印象が良い人」という条件も、下位概念へとブレークダウンしていくことで具体化されていく。これは「内面」についても同じだ。外見と同様、内面を分解していくことで、「性格」「知性」「趣味」などより詳細な条件が浮かび上がってくる。これが思考を深めるプロセスになる。

強調したいのは、ロジックツリーは思考を深めると同時に、広げることにも活用できるという点だ。結婚相手の条件をロジックツリーで整理していく過程で、ときに作成中のツリーに収まらない条件が思い浮かぶケースがある。たとえば「相手の両親とは同居したくない」といった条件だ。この条件は、本人の外見には関係なく、かといって本人の内面に属するものでもない。こうした特異点(既存のツリーにない箱)が見つかった場合には、ツリーに「両親」という箱を新たに追加する必要がある。

ところが、単純に「両親」という箱を「外見」や「内面」と同じグループに並べるのでは正しいといえない。「外見/内面/両親」という分類はMECEではなく、漏れやダブりを誘発するからだ。「両親」の箱を追加するなら、一つ上の階層に「本人/本人以外」というクライテリア(評価基準)を設けて、「本人」の下に「外見」や「内面」、「本人以外」の下に「両親」を連ねるのがロジックツリーのあるべき姿だ。

このように特異点をツリーの中に位置付けていくと、「外見/内面」が結婚の条件のすべてだと考えていた人も、それが全体の一部にすぎなかったことに気づき、その上にある「本人/本人以外」というより広い視野を獲得できる。特異点を追加していくことでツリーはどんどん横に広がるが、同時に思考もまた広がるイメージだ。

問題は特異点の見つけ方だろう。ロジックツリーだけに頼っていると、物事を深く掘り下げることはできても、視野を広げて新しい発想をすることは難しい。いかにほかの思考法と組み合わせるかが、思考を広げる鍵になる。

冒頭では単なる思いつきの弊害を指摘したが、ロジックツリーなどのフレームワークと併用するのであれば、ブレーンストーミングで片っ端からアイデアを列挙していく方法も悪くない。リストアップしたアイデアを既存のツリーに落とし込むとき、適当な箱が見当たらなければ、それこそがまさに特異点である。

ロジックツリーは物事を論理的に構造化する手法であり、第三者にも思考回路が理解できるという意味でサイエンスに近い。それに対し、たとえばブレーンストーミングは自分の中にある考えを非構造的に膨らませていく手法であり、人によって結果が異なる。どちらかといえばアートの領域だ。

特異点を見つけ出すにはアート的な手法が効果を発揮するが、それが本当に特異点であるかどうかは、構造化されたロジックツリーに照らし合わせて見極める必要がある。アートとサイエンスのどちらか一方だけでは、新しい視野は獲得できない。非構造化と構造化の繰り返しによって思考は広がり、深まるのである。