はじめまして。このコラムは、観た映画に対して「値段」をつける、というなんとも失礼極まりない内容です。素人の分際でそんな事をしたらお叱りを受けるかもしれませんが、あくまで個人の価値基準に基づいた値付けなので、どうか菩薩の心で読んでやって下さい。で、もし作品に興味をもっていただけたら、ぜひとも劇場に足を運んで、身銭をはたいてご鑑賞いただければこれ幸いです。

さて、記念すべき第一回めの作品は『愛と誠』。三池崇史監督の最新作です。
三池崇史といえば、僕が住む街荻窪でたまに見かける"風貌がどことなく三池監督に似ているお婆さん(金髪にサングラス、チンピラっぽいシャツ姿)"がおりまして、僕は密かに「荻窪の三池崇史」と呼んでいます。最近見かけないので少し心配です。
話しが逸れましたが、『愛と誠』、この映画は良くも悪くもとんでもない映画でした。三池監督の作品は大概どれもとんでもないですが、今作では監督特有のオフザケ節がてんこ盛りです。恥ずかしながら原作漫画は未見ですが、おそらく原作の純粋なファンからしたら、この映画化は邪道も邪道、「三池崇史許すまじ!」な内容ではないかと思います。僕自身、観るまでは"とことん激しい学園純愛ドラマ"かと思って期待していましたが、始まってみたらオフザケ満載の昭和歌謡ミュージカルだったので、正直ズッコケました。
とは言え、この映画には銭を払ってでも見るべき箇所がけっこうあったので、いくつかあげたいと思います。

「一青窈&市村正親のミュージカルシーン」
この映画のミュージカルは基本どれも馬鹿馬鹿しいですが、中でも、夫婦役の一青窈さんと市村正親さんの、無駄に長いミュージカルシーンは際立っています。とくに市村さんの「本物」がなせるキレッキレの動きは爆笑or感涙です。この二人のプロフェッショナルの競演には少なく見積もっても1,000円の価値があると思います。

「加藤清史郎くんのバイオレンスアクション」
シーンとしては一瞬ですが、主人公の子ども時代を演じた加藤清史郎くんが、子供相手に狂気のバイオレンスアクションを炸裂します。このシーンを見たら、もうだれも彼の事を「かわいい♪」と言えなくなると思います。これも1,000円の価値ありです。

「武井咲ちゃんが縄で縛られ吊るし上げに!!」
いまや国民的美少女の武井咲ちゃんが、こともあろうか縄で縛られ吊るし上げられるという70's女番長映画みたいなサービスシーンが終盤で見られます(しかもその咲ちゃんの下腹めがけてポーリングのピンが!!!)。これも1,000円(人によっては2万円)の価値はあると思います。

この他にも、安藤サクラさん演じる「ガムコ」とか、伊原剛志さん(オッサンにしか見えない高校生役)による「猿蟹合戦講座」とか、なかなか良い見どころ(銭どころ)はたくさんあります。
その反面、「金返せ!」とまでは言わないまでも、自分的にプライスダウンな部分もちょいちょいありました。
そんなわけで、諸々計算しまして、、、、

この映画、2,100円払って観る価値あり!

(あと原作のマンガはちゃんと読んでみようと思いました)





(c)2012『愛と誠』製作委員会

「愛と誠」
ストーリー: 1972年の新宿。令嬢・早乙女愛は、幼い頃に危機を助けてくれた不良少年・太賀誠と再会を果たす。誠を更生させようと、誠の通う不良高校に転入して献身的に尽くす愛。愛を追って転入してきた岩清水や謎の美少女も登場し、それぞれの思いが交錯する中、大事件が起こるー
監督: 三池崇史
キャスト: 妻夫木聡 武井咲 他
上映時間: 134分
6月16日(土)より、新宿バルト9他全国ロードショー!
2012年/日本

オフィシャルサイト

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死後
イラストレーター。1977年生まれ、愛知県出身、東京在住。蟹座。 「死後」という使いづらいペンネーム且つ節操のない画風で、雑誌、書籍、CD、web等、様々な媒体で活動中。
主な仕事・・・NHK「おやすみ日本」眠いい昔話コーナー/CD『ほーひ』mmm/書籍『コケはともだち』藤井久子著/雑誌anan、BRUTUS他  ホームページ