「3年で3割」では済まなくなるかもしれない

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若者が「終身雇用」を希望しているという調査結果が、相次いで発表されている。労働政策研究・研修機構によると、「一つの企業に長く勤め、管理的な地位や専門家になるキャリアを望む」と答えた20代は、過去最高の51.1%にのぼったという。2007年の前回調査から10.8ポイントの上昇だ。

また、日本生産性本部によると、「今の会社に一生勤める」と答えた今春入社の新入社員は、過去最高の60.1%となっている。ITバブルの2000年には20.5%だったことを考えると、大きな時代の変化を感じさせる。

「いつか辞める」と言いながら居座る先輩の方が保守的だ

各種報道では、この調査結果を「20代の安定志向」や「若者の保守的な傾向」と結びつけている。ネット上にも「日本に元気がない原因のひとつがこういうところにある気がする」という意見が見られる。

しかし、現在よりも1980年代の方が、終身雇用はガッチリ守られ、転職者も珍しかったはずである。就職先に関する考え方も、バブル世代以前の若者の方がより保守的で安定志向だったに違いない。

いまは就職難なので、苦労して就職した会社でスキルを磨き、より高い給与をもらいたいと思うのは当然だろう。日本企業がいまだに年功序列であり、長く勤めればよりよい地位を確保できることは、20代だって知っている。十分に合理的な判断だ。

それよりも、これから3年先「大卒者の3割は3年以内に退職する」という法則が、どう変わるのか、気になるところではないか。

2000年に8割の人が「この会社をいつか辞めてやる」としながら、3年で3割しか辞めていない。ということは、中で働いてみたら意外に快適で、わざわざ外に出る必要はないと判断した人が単純計算で5割いたことになる。十分に保守的な世代だ。

もしこれから3年後に、辞める若者が同じ3割で変わらなければ、「辞めるのをやめた」人は1割にとどまることになる。今回の「事前」調査だけで若者の志向は判断できず、今後の離職動向を検証することが必要である。

もしかすると辞める割合が増加して、「いまどきの若者は、定年まで勤め上げようと入社したものの、会社の実態に失望して転職する人が増えている」という傾向が出るかもしれない。そのとき大人たちは、「いまどきの若者はこらえ性がないな」と評するだろうが…。