名称変更から10年、統合失調症への意識はどう変わったか?

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6月15日、大手町レベル21にて、世界最大級のトータル・ヘルスケア・カンパニー、ジョンソン・エンド・ ジョンソングループの製薬会社・ヤンセンファーマ株式会社による「第4回ヤンセンファーマ メディアセミナー」が開かれ、国立精神・神経医療センターの高橋清久名誉総長が統合失調症に関して報告を行った。

この日のセミナーは「統合失調症の現在-名称変更から10年、意識の変化と最新治療-」と題して開催された。

同社は先月、統合失調症に関する理解と認識について、一般生活者に調査を実施。

今回のセミナーは、その調査に基づく報告と提言が主題である。

また、今回の調査を監修した、国立精神・神経医療研究センターの名誉総長であり、財団法人精神・神経科学振興財団理事長を務める高橋清久氏が登壇した。

高橋名誉総長によると、統合失調症は10代後半から30代半ばまでの発症が多く、成人の約1%、すなわち100人に1人の発症報告があるという。

統合失調症の症状は主に、「自分はつき物に取りつかれているのではないか」といった幻覚や妄想などの陽性症状、逆にいままであった感情がなくなり、ボーっとしてしまうなどの陰性症状、状況の把握や空気を読むなどの機能が衰えてしまう認知機能障害の3つに分類することができる。

こうした状態は、いずれも脳内の統合する機能の失調によるものであり、従来の「精神分裂病」という表現では人格そのものが破たんしているかのような誤解を招く。

そこで、国に要望したり、意見広告を新聞に出すなど、医学界を中心に働きかけを行った結果、2002年に精神分裂病という表現は統合失調症に変わった。

かつての精神分裂病と現在の統合失調症とは、単に呼称が異なるだけではない。

定義としても、精神分裂病は「病」、すなわちひとつの病気の単位として、人格の病気とされてきたが、統合失調症ではそうした定義を改め、さまざまな因子が複合して発症するものであり、人格とはイコールではないとしている。

これは、徐々にその原因がわかってきたことも大きい。

かつては病院に入院させ、いわば監禁に近い状態で投薬治療を行い、鎮静化するという方法が主であったが、現在では社会復帰を目指した治療が通院でも行うことが可能で、発症した患者の過半数が社会復帰を果たしている。

では、実際に「統合失調症」と表現が変わったことで、医療関係や我々一般の人にとって、どのような意識の変化が起きているのか。

まず、医療現場においては、これはおおむね歓迎されているという。

「病」ではなく「症」になったことで、医者は病名告知がしやすくなり、患者も受け入れやすくなったそうだ。

では、一般の人にとってはどのような印象を持たれているのか。

今回、同社が行った20代から60代までの日本全国の男女合計500名を対象に実施されたWEB調査によると、「統合失調症」という名称を知っているかという質問に対し、その認知率は55.6%であった。

前回、2009年に調査した際に比べて大きな変化はない。

同様に、「精神分裂病」という名称を知っているかという問いに対しては、64.6%の人が知っていると回答。

このことから、一般にはいまだ「統合失調症」より「精神分裂病」の方が知られていることがわかった。

また、「精神分裂病が統合失調症に病名変更した」ことを知っていたと回答した人は24%にとどまったほか、統合失調症という病名自体にどのようなイメージを持っているかという質問に対しても、「病名からイメージがわかない」という回答が全体の20%以上にのぼったという。

「統合失調症」について正しく知られていない実情が浮き彫りとなった。

このことについて高橋名誉総長は、「メディアを通じて十分に病名や症状が認知されてほしい」と述べた。