純愛ミュージカル!? 昭和歌謡曲の魅力にハマる映画『愛と誠』【最新シネマ批評】

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[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画の中からおススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、6月16日公開の三池崇史監督作『愛と誠』です。昭和の傑作漫画として伝説化されている原作は、すでに西城秀樹主演の同名映画が有名ですが、それを21世紀のいま、映画化したらどうなるか……。

試写のときから、その出来栄えに賛否両論分かれた本作。オリジナルを愛した人は「ギョ!」としたそうですが、記者などは「激しい恋」「空に太陽があるかぎり」「夢は夜ひらく」など、昭和歌謡の数々に懐かしさと可笑しさで胸イッパイに! 何しろ熱い青春ドラマをミュージカル仕立てにしたのですから、三池監督の大胆な演出に驚きのエンタティメントです。

舞台は1972年。超不良の転校生・太賀誠と再会した早乙女愛。幼い頃、彼に助けられたことのある愛は、不良の彼を更生させようとしますが、彼は一匹狼として生きてきたツワモノ。献身的な彼女を冷たく突き放します。

一方「君のためなら死ねる」と、愛を一途に愛する岩清水弘は愛を守ろうと必死! そんな3人に超不良が次々からんできたり、誠の母親が登場したりと、孤独だった誠の周辺が大きく変化。それとともに彼の心情にも変化が訪れます……それは愛?

70年代の濃厚な青春ドラマを、いま真面目にやっても通用しないと思ったのか? 三池監督はミュージカル仕立てにし、それぞれのキャラクターにピッタリの昭和歌謡で、誠、愛、岩清水など登場人物の心情を歌で表現させています。誠こと妻夫木聡の登場シーンから「やめろっと〜♪」と歌って踊ってと始まりますから「え、そういう映画なの?」とビックリしつつもノリノリです。

本作は梶原一騎氏の実弟・真樹日佐夫さんに三池監督が頼まれて再映画化に踏み切ったとのこと。「昭和歌謡で!」というアイデアは脚本を担当した宅間孝行氏の発案で、さすがドラマ「花より男子」を大ヒットに導いた脚本家、目の付けどころが違います。これをきっかけに「面白い台本を真面目に撮る」というのが基本コンセプトに。

そして肝となる音楽は人気音楽プロデューサーの小林武史氏が担当。キャストの音域などをチェックしてキャラにふさわしい昭和歌謡をスタッフと相談してチョイス。これを歌いながら踊るのですが、この振り付け担当はパパイヤ鈴木氏と、バックも敏腕スタッフが支えています。なるほど、面白いわけです!

完成披露会見では妻夫木氏が「三池監督ふざけた映画作っちゃって」とコメントしたり、ヒロインの武井咲嬢が「セリフをちゃんと覚えてこなくていいのかなと思って」と天然な発言をしたりと「いったいどういう映画なのだ?」と思わせましたが、歌ったり踊ったりしながらも、愛の一途な想いに孤独な誠が変わってゆくという、この原作の純愛魂は本作にしっかり受け継がれていて、そこはさすが三池監督! とうなります。

愛されたことのない誠が、愛されることを知る姿には、ちょっとホロリときちゃいましたよ。

かつて大ヒットしたインド映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』並にキャストが歌って踊って愛を語る和製マサラムービーとも言われている『愛と誠』。ぜひ劇場に足を運んで、キャストの歌と踊り、そして純愛をドーンと受けとめてください!

(映画ライター=斎藤 香)

『愛と誠』
2012年6月16日公開
監督:三池崇史
原作:梶原一騎、ながやす巧
(週刊少年マガジン(講談社)連載/1973年3・4合併号〜1976年39号)
(講談社漫画文庫/全10巻・累計発行部数800万部)
出演:妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史郎、一青窈、余貴美子、伊原剛志、市村正親
(C)2012「愛と誠」製作委員会


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