日本国債の信用を維持させ、長期金利の急上昇や円の急落を回避するためには、欧州諸国のように財政再建への取り組みを進め、国債の発行額を抑制することが唯一の選択肢となるのである。

為替マーケットを相手にするFX投資家であれば、以上のような日本のファンダメンタルズを把握しておきたい。



[COLUMN]
円安局面突入なら、高金利通貨の豪ドルの出番!

日銀による金融緩和策や、日本の貿易収支
の赤字発表などにより、ドル円相場は歴史的な円高局面からいよいよ脱却しそうだ。

ただ、ここへきて米国の経済指標がいまひとつ冴えないのも確か。仮に米国がQE3(量的緩和策第3弾)に踏み切ることになれば、再度、円高へと大きく振れることは間違いないだろう。今後もFRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は、QE3のカードをちらつかせ、マーケットを牽制するはずだ。とはいえ、多くの専門家が指摘するように「QE3の可能性は低い」と見ている。

さて、マーケットでは、またぞろ日本国債暴落説なども浮上しているが、FX投資家であれば、海外の通貨に資産を逃避させることで、リスクを分散することを考えたいものである。

特に円が売られるような状況であれば、資源国の高金利通貨は魅力的だ。なかでも豪ドルはスワップポイントが高く、世界中の投資家が好んで買っている。

もちろん、リスクオフの状況になれば、売られることもあるが、スワップポイントが高い分、押したところは買いオーダーが入りやすい通貨といえる。

豪ドル/円の通貨ペアを手がける場合には、「押し目買いの吹き値売り」を心がけたい。というのもこの通貨ペアは、比較的ボックス圏で推移することが多いため、ある程度機動的に売買することで効率よく資産を増やすことができるからだ。

豪ドルをショート(売り)した場合には、マイナスのスワップポイントが大きいため、基本的には「円売り、豪ドル買い」をベースに戦略を立てたい。

ただし、豪州の経済状況には、中国の景気鈍化がダメージとなるので、中国経済の動向にも常に気を配っておきたい。

佐藤正和(MASAKAZU SATO)
外為オンライン為替アナリスト

邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ)入銀。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20 年以上、為替の世界に携わっている。


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この記事は「WEBネットマネー2012年7月号」に掲載されたものです。