士業が今、“厳しい”といわれる理由とは?

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 多くの人が憧れる“士業”。これは、いわゆる「士」という言葉が語尾につく名称の資格職業のことで、弁護士をはじめ、人気資格となっている税理士、会計士、社会保険労務士など、高度な専門性を要求される、まさにその道のエキスパートといえる存在です。
 ところが今、その“士業”でも、満足できる収入を得られない状況が生まれてきているといわれています。
 今回は『士業のための「生き残り」経営術』(角川学芸出版/刊)の著者である東川仁さんに、士業を取り巻く現状や、独立しても生き残るための方法などについてお話をうかがいました。今回はその前編をお送りします。
(新刊JP編集部)

■士業が今、“厳しい”といわれる理由とは?

―まず「士業」と聞くと会計士や税理士、弁護士など、少し前までは引く手あまたで、持っておくと有利になる資格として人気でした。しかし、現在の「士業」を取り巻く状況について聞くと「非常に厳しい」という声も聞きます。東川さんは現在の「士業」を取り巻く状況をどう見ていますか?

「やはり、非常に厳しい環境だと思います。以前であれば、資格を持っているだけで向こうから仕事が飛び込んで来ました。しかし、今では顧客数が減少している上に、士業を志す人の数が増えているため、競争はどんどん激しくなってきています。「営業がしたくないので士業になった」と言われる人でも、営業活動を行わなければ、顧客を獲得することができない時代へと変化してしまったのではないでしょうか」

―どうして「非常に厳しい」という声があがるような状況になってしまったのでしょうか。本書の書籍タイトルでも「生き残り」という言葉が使われておりますが…

「前の質問でも申しましたように、理由は大きく分けて2つあります。
一つは、「顧客数が少なくなった」ということ。税理士を例にしますと、つい10年ほど前は「記帳業務」というのは、税理士の仕事にとって大きなウェイトを占めていました。 かなり煩雑な業務となるため、一般の会社においては、その業務をさけるために税理士に記帳を依頼していました。しかし、最近はITの発達により記帳業務自体が一般の企業の事務員でも簡単にできるようになってきました。わざわざ税理士の先生に頼む必要がなくなってきたのです。その分、顧問料の減額をされたり、ひどい場合には契約を解除されたりということが増えました。10年前の税理士の1社あたりの平均顧問料は5万円を超えていましたが、現在は3万円を割っています。
もう一つの理由は「競争が激しくなったこと」。不景気が続き、いつリストラされるかという恐怖のため、「手に職をもちたい」と考えた多くのビジネスマンが資格を取りにいっています。実際に資格試験の受験者数は年々増加しています。また、会社をやめて士業として独立する人たちも増えています。そんな環境から、士業の数はどんどんふえているのにもかかわらず、顧客数や顧問料は減少し続けているため、旧態依然とした業務を行っている士業にとっては「非常に厳しい」という状況にあると思います」

―本書では「士業」だけでなく、独立系コンサルタントやセミナー講師などに向けても書かれていますが、コンサルタントやセミナー講師の方々の状況も「士業」という同じような状況なのでしょうか。

「営業活動を積極的に行わず「待ち」の体勢でいるコンサルタントやセミナー講師であれば、まったく同じような状況だと思います」

―独立したての士業の方が今後生き残っていくために、まずはどのようなことを覚悟すべきですか?

「自らが能動的に行動しなければ、売り上げは上がらない。「待ち」の体勢では生き残れないということですね」

(後編に続く)