昨年、この映画が全米で公開されたとき、タイトルがとても気になりました。「We Bought a Zoo」。「動物園を買った」とは、どういう内容の話なんだろう。しかも主演は、絶対に私の期待を裏切らない俳優、マット・デイモン。とにかく見たくてたまらなくなりました。その後、「幸せへのキセキ」という邦題が付いたと分かり、実際に見てみたら、期待を上回る感動が待っていました。


 新聞社に勤めるコラムニストのベンジャミン・ミー(マット・デイモン)は、最愛の妻を亡くしますが、悲しみを癒やす間もなく、14歳の息子ディラン(コリン・フォード)と7歳の娘ロージー(マギー・エリザベス・ジョーンズ)の子育てに追われていました。

 半年が経ち、反抗期のディランは母を失った寂しさから学校で問題を起こして退学になり、ベンジャミンは頭を抱えます。そんな中、ベンジャミンは上司との意見の相違から衝動的に辞職。彼は、妻との思い出があふれる町を離れて、郊外に引っ越すことを決意します。

 ロージーとさまざまな物件を見て回った後、ベンジャミンは広大な丘の上に理想的な邸宅を見つけます。でも、それはワケあり物件でした。なんと、2年間閉園状態の動物園付きだったのです。そこを買うということは、動物園のオーナーにならなければいけないということ。全く気が進まないベンジャミンでしたが、大喜びするロージーを見て覚悟を決めます。


 動物園には、ボランティア同然で働いている飼育員たちがいました。チーフのケリー(スカーレット・ヨハンソン)は、ど素人の新オーナーであるベンジャミンが本気で動物園を再建する気があるのか心配します。彼女が懸念した通り、すぐにベンジャミンは再建の難しさに直面しますが、彼は家族の絆を取り戻すためにも、妻を失った悲しみを乗り越えようと、真正面から試練に立ち向かい始めます。



 本作は、英国の日刊紙「ガーディアン」でコラムニストを務めていたベンジャミン・ミーの著書『幸せへのキセキ〜動物園を買った家族の物語』(興陽館刊)に基づいて映画化された作品です。ベンジャミンとその家族が、リスクを負いながら荒廃した動物園を再建した実話から、「ヒア アフター」などで心揺さぶる演技を披露してきたマット・デイモンをはじめとするキャストたちの熱演によって、感動的な映画が誕生しました。


 私生活で4人の子どもを持つマットは、積極的に育児に関わるイクメンだとか。マットの出演作を見ると、いつも彼の誠実さが伝わってくるようで、心に深く残る作品が多い、と私は思います。

 ケリー役のスカーレット・ヨハンソンは、いつもは妖艶なイメージの役が多いのですが、本作では、ほぼすっぴんで男勝りなキャラクターを好演しているのが印象的でした。


 愛する人を亡くしたことで抱える深い喪失感。そこから立ち直るのは容易なことではありませんが、その喪失感をエネルギーに変えて、生きる意味を感じることを描いた本作は、見ると心が温かくなって、幸せな気持ちになれる感動の1本です。

「期待を裏切らない俳優マット・デイモン出演作」DVD紹介

「インビクタス/負けざる者たち」


 オスカー俳優モーガン・フリーマンが、ネルソン・マンデラを熱演した、クリント・イーストウッド監督による真実の感動ドラマ。アパルトヘイトによる27年間もの投獄の後、黒人初の南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラ。彼は、依然として人種差別や経済格差が残っていることを痛感するが、誰もが親しめるスポーツを通して、人々を団結させられるのではと考える。弱小化していた南アフリカのラグビーチームの立て直しを図ることにしたマンデラは、“不屈の精神”でチームを鼓舞して、黒人選手と白人選手を団結させ、奇跡の快進撃を呼び起こす。南アフリカ代表チームのキャプテン、フランソワ・ピナール役のマット・デイモンは、誰もが不可能だと思っていた優勝を目指してチームを引っ張っていくキャプテンを好演している。

2009年/アメリカ/モーガン・フリーマン、マット・デイモン
ワーナー・ホーム・ビデオ/Blu-ray2500円、DVD1500円/発売中
「ヒア アフター」


 マット・デイモン主演、クリント・イーストウッド監督による“希望”と“再生”の物語。死者の声が聞こえることを呪いのように感じて苦しんでいる、サンフランシスコに住むジョージ(マット・デイモン)。休暇で訪れた東南アジアで津波の被害に遭い、死にかけたときに不思議な光景(ビジョン)を見た、パリで活躍するジャーナリストのマリー(セシル・ドゥ・フランス)。ロンドンに住む双子の兄弟、ジェイソンとマーカス(ジョージ&フランキー・マクラレン)はいつも一緒だったが、兄ジェイソンを交通事故で亡くし、弟マーカスは悲しみから立ち直れない。“死”に直面したマリーとマーカス、そして死者とつながる能力を持ったジョージ。孤独に苦しむ3人は、互いの問いかけに導かれるように巡り合っていく。自分の“才能”に苦しみながらも、希望を見いだしていく主人公に扮したマットの名演技が素晴らしい。

2010年/アメリカ/マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス
ワーナー・ホーム・ビデオ/Blu-ray2500円、DVD1500円/発売中