抜けるような青い空、透きとおった海や人々のホスピタリティー、独自の芸能文化が魅力で、常に国内旅行の 人気ランキングでは上位に入る沖縄は先月5月15日、本土復帰40周年を迎えた。日本本土が米軍占領から「独立」したサンフランシスコ講和条約発効の1952年から数えれば、60年目の節目にあたる。

 沖縄タイムスと琉球放送合同の県民意識調査(2012年1月3日発表)によれば、「復帰してよかった」と答えた沖縄県民は約9割。しかし、県民の84%が本土との間に「格差がある」と回答し、その最大の格差について「基地負担」(国土の0.6%に過ぎない沖縄県に全国の在日米軍施設面積の74%が集中している状態)をあげている 。そして、その米軍基地について、今後どうしたらいいかという問いに対し「段階的に縮小」(66%)、「直ちに全面撤去」(22%)と、9割もの人が「復帰してよかった」と答えつつも、基地の撤去を 望んでいることがわかる。

 軍用機の大騒音被害や事故はもちろん重大だが、見逃せないのは、よほどの「大きな事件」でなければ本土ではあまり報道されない米軍による犯罪。

 復帰年の1972年から2010年までに発生した、米軍人の犯罪検挙件数は5,705件。年間平均すると150件で、数字上では2.5日に1件の割合で米兵による犯罪が発生していることになる(泣き寝入りの数を含めればもっと多いだろう)。その内、殺人・強盗・強姦といった「凶悪犯罪」は564件で約一割を占めるというのだからたまらない。しかも日米地位協定によって、犯罪者はしかるべき罰を受けることはほとんどない。復帰後も、第一次裁判権は米軍に握られていたからだ。これではまるで「軍事植民地」の扱いではないか。罪を犯すものの大半はマリーン、いわゆる海兵隊。まさに無法の荒くれ男たちの集団だ。

 著者の仲村清司氏は祖父が沖縄生まれで、自身は大阪生まれの大阪育ち、那覇に移住して15年余りの沖縄人二世。『住まなきゃわからない沖縄』、『沖縄うまいもん図鑑』、『沖縄ナンクル読本』(共著)、『ほんとうは怖い沖縄』など数々の沖縄関連本でヒットを放ってきた書き手だ。

 今回は沖縄と内地のギクシャクした関係の根っこにあるものとは何なのかと? 激動の沖縄現代史にガチンコで挑んだ。

 沖縄本島と八重山諸島の温度差、軍用地売買のリアルな現実、テレビや映画にもなって話題を呼んだ『テンペスト』に抗議する沖縄人の心情など......沖縄内部の「矛盾」にもきっちり目をむけている。

 さらに、沖縄を憂い愛する本土の人たちまでもを排斥するかのような沖縄言論界の反ヤマト=琉球ナショナリズムの潮流にも、大きな声ではないけれど、さりげなく警鐘を鳴らしている。

 「沖縄は多様な意見がいえる場であってほしい。どんな理由があるにせよ、沖縄のことを思い、葛藤しているもの同士が語り合うことをためらうような息苦しい土地にならないでほしい」と。
 
 最後に、一言。プロローグとエピローグに登場する著者の亡き祖父のエピソードは、読者の琴線に必ずや触れる一文、いや二文か。お見逃しなく! 



『本音の沖縄問題 (講談社現代新書)』
 著者:仲村 清司
 出版社:講談社
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
「純一」「サラダセット」「はむかつ」って意味わかる?〜『辞書に載らない日本語』
言語脳科学の第一人者が語る「電子書籍になくて紙の本にあるもの」
日本人がもっともよく食べる果物・バナナの知られざる歴史


■配信元
WEB本の雑誌