お客さまの笑顔が見たい。商品を通じて喜びを届ける

ビジネスパーソン研究FILE Vol.172

森永製菓株式会社 大熊洋平さん

「森永製菓をナンバー1にし、天下を取る」ことが目標だという営業担当の大熊さん


■国内最大級のサービスエリアに森永専用の棚をつくることに成功! 営業としての自信をつけた

大熊さんは「食を通じて、お客さまの笑顔を見る仕事がしたい」と考え、食品メーカーの道を選び、営業職を志望した。入社後、約1カ月の研修を経て配属されたのは、東京支店横浜営業所。配属直後は先輩の営業に同行して現場の基本を学んだ後、湘南エリアの小田原、平塚地区の小売店と卸売会社を担当することに。
「担当の店舗は約40店舗でしたが、それに加えて、神奈川県内の東名高速道路のサービスエリアの新規開拓も任されました。これまでサービスエリアには、森永商品専用の販売棚をつけることはありませんでしたが、上司から『今までやっていないことをやってほしい。大熊にしかできないことをやってみろ』と言われ、『やるぞ!』と奮起しました。商品知識もマーケティング知識もまるでない新人ではあるけれど、熱意だけは負けない自信があったので、とにかく足を運んで商品を見てもらおうと考えました」

大熊さんは、大きなサービスエリアは週2回、小さいところでも週に1回は訪問するように心がけた。ほかのメーカーのベテラン営業のように駆け引きはできないけれど、若いからこそのフットワークの良さがある。そして何より、「自分には元気と明るさという取り柄がある」と考え、常に元気よくあいさつし、商品の陳列などもどんどん手伝っていった。
「まずは国内最大級のサービスエリアの海老名で勝とうと考え、何度も顔を出しながらいろいろな提案をしていきました。最初のうちはまるで相手にされませんでしたが、1カ月通い続けた後、『そこまでこの場所に対して一生懸命な人はいなかった。レジ前のスペースを貸してあげるから、好きにやってごらん』とおっしゃっていただけたのです! もううれしくて、早く社に戻って上司にこのことを伝えたいと思いました」

大熊さんはレジ前にハイチュウ商品を置く提案をし、自ら売り場の棚づくりも手がけた。子どもたちの夏休み時期にぴったりのこの提案は見事に当たり、担当エリア内で過去最高の商品売り上げを記録した! 
「自分の一生懸命さが伝わったと感じ、本当にうれしかったですし、上司からも褒めていただきました。私にとって大きな自信となりましたね。この後、神奈川県内のサービスエリアで続々と森永専用の棚をつくっていきました」

大熊さんにさらなる成長の機会が訪れたのは、入社6年目のこと。東京支店東京西営業所に異動となり、山梨県の全エリアを1人で担当することになったのだ。
「上司からは『森永製菓を日本一にするための皮切りとして、まずは大熊が山梨で天下を取れ!』と言われ、『山梨に大熊あり』と言われるまでになろうと決意しましたね。東京西営業所の所長からも『山梨で成功事例をつくって、後輩を引っぱり、先輩に脅威を与えてほしい』と言われて。若手の中でも上の方の立場になった今、自分がやらねばという責任の大きさもひしひしと感じていました」

基本的に、商談は担当する小売りチェーンや卸売会社の本部と行うものだが、大熊さんは「ほかのメーカーに負けないナンバーワンの提案をするためには、自ら現場に足を運び、それぞれの店舗のスタッフとしっかりコミュニケーションを取ることが重要」と考えた。
「週に4回は山梨に出張し、県内に点在する担当店舗の約100店をすべて1人で回り続けました。現場のスタッフの皆さんからも『こんなに現場に足を運ぶ営業はいない』と言われましたし、競合のメーカーの人からも『よく回るね〜!』と言われたほど。頑張ったおかげで、森永製菓の商品ばかりが並んでいるような店舗もできましたし、それぞれの店舗の担当者と一緒にぶどう狩りに出かけたりするなど、プライベートでお付き合いするほどに仲良くなれましたね」

大熊さんは自分の営業の原点である「元気と明るさ」を生かして地道に信頼関係を築く一方、全国や首都圏の売り上げデータを基に市場分析も行い、新たな提案の模索を続けていった。


■山梨エリアのシェアを飛躍的にアップした後、全国展開する大手スーパーの担当に

売れ筋商品の分析を続けた大熊さんは、「山梨でも、全国や首都圏で成功しているような提案にならえば、さらに売り上げが伸びるのでは?」と考える。そこで、森永製菓の「ホットケーキミックス」商品を軸にひとつのテーマをつくり、関連商品の売り場と連携したキャンペーンを提案する。
「『朝食にホットケーキを』をテーマに、『ケーキシロップ』などの関連商品の売り場にも商品を展開するキャンペーン。11店舗で開催し、各店でそれぞれ団結して『ホットケーキミックス商品でズバ抜けた売り上げをつくること』を目指しました。現場の販促POPづくりから陳列まで、各店舗のスタッフやパートの皆さんと一緒に行いましたし、山梨営業所の所長も自ら陳列を手伝ってくれて。僕1人ではなく、一体感を感じながら売り場をつくりあげることができ、すごく楽しかったです!」

このキャンペーンのおかげで、「ホットケーキミックス」の売り上げは前月比300パーセントまで伸び、関連商品も150パーセント増に。山梨の複数のスーパーチェーンが合同で開催する商品政策研究会でも表彰され、各店舗の主任も喜んでくれたという。
「このキャンペーンは一度で終わることなく、さらに大規模なスーパーチェーンでも開催することになりました。同日キャンペーンの形式を取ったために1人では手が回らず、営業所全体を巻き込む形でみんなに手伝ってもらうことに。みんなで一致団結して商品を並べた陳列棚を見た時、『やり遂げたぞ!』という感動でいっぱいでした。キャンペーンの最中には、自分が並べた商品をうれしそうに買っていくお客さまの姿を見て『やって良かった!』という大きな喜びを感じましたね」

数々の提案を行ううち、大熊さんは山梨エリアでの森永製菓のシェアを飛躍的に成長させ、圧倒的なものとしていった。「山梨でトップになった!」。そう実感し始めた2011年、大熊さんは本社へ異動することに。配属先は全国展開のスーパー・コンビニエンスストアのチェーンを担当する部署だった。
「当社最大の売上高を誇る大手スーパーを担当することになりました。会社全体を引っ張るほどのチェーンのため、僕がここで勝てば、きっと森永が日本一を取れるはず。責任の大きさに、プレッシャーとやりがいを同時に感じていましたね」

しかし、全国展開のチェーンのため、今までとは店舗の数も規模もまったく違い、足を使って店舗を回るこれまでのやり方は通用しない。そのうえ、全国各地の地域ごとに売れ筋商品が異なるため、キャンペーンの内容も一括提案することはできないのだ。
「季節に合わせたテーマの売り場づくりやキャンペーンの提案を毎週しています。が、例えば夏場にかき氷をテーマにした場合でも、東と西では売れ筋のシロップの味が違うので、打ち出す商品の内容を地域別で細かく変更していかねばなりません。また、全国の店舗における商品構成の棚割り(商品棚にどの商品をどれだけ陳列するかの配置計画)も管理しなくてはならず、ハンパじゃない情報量に驚きました」

配属当初、戸惑うことも多くあった大熊さんだが、スーパー側の仕入れ責任者である担当バイヤーもちょうど配属されたばかりの時期だったため、2人で一緒に手探りで売り場づくりをしていったという。
「お互い初めてのことだらけでしたが、バイヤーさんから『2人で新しい売り場をつくっていこう!』と言われて、やる気に火がつきましたね。夜遅くまで一緒に売り場づくりを考えるなどして、長い時間を一緒に過ごしたことで深い絆を結ぶことができました」

2011年のクリスマスシーズンにはマーケティング部などの関連部署も巻き込み「ホットケーキミックスで手づくりケーキを食べよう」というキャンペーンを手がけ、当該チェーン専用のクリスマスキットを作成。サンタを描いたボードや、オリジナルの販促物をつくるアイデアが大ウケし、当該チェーン内での過去最高のホットケーキミックスを売り上げるまでに!
「大規模なチェーンを担当することには、周囲を巻き込んでいくプレッシャーもありますが、世の中に大きな影響を与えるという手応えを感じられます。『自分はスゴい仕事をしているんだ』と肌で実感していますね」

そんな大熊さんの一番のやりがいは、「お客さまの笑顔を見ること」。入社当初に抱いていた思いは今でも変わらないという。
「例えば、電車の中でおいしそうに『ハイチュウ』や『ポテロング』を食べているお子さんを見た時、朝の通勤途中に『ウイダーinゼリー』を飲んでいる人を発見した時。いつもうれしくなるので、『自分は本当に森永製菓の人なんだなあ』と思ってしまいます(笑)。今後の目標? やっぱり、『森永製菓をナンバー1にし、天下を取る』ですね。日本一を目指し、お菓子や『ホットケーキミックス』を通じてお客さまに笑顔を届けていきたいと思っています」