ハードボイルド・冒険小説作家、推理作家と紹介される大沢在昌。そんな大沢氏が、普段とは違うコメディタッチで描く「坂田勇吉シリーズ」の最新作『語りつづけろ、届くまで』が発売されました。

 サカタシリーズはこれまで、『走らなあかん、夜明けまで』『涙はふくな、凍るまで』の2作品が出ており、良人サカタは、毎回のように事件に巻き込まれています。

 サカタは、真面目で人の良さがあふれ出ている独身のサラリーマン。特別な力を持つわけではないですが、その人の良さ故に周囲からのお願い事を断ることができません。するといつの間にか事件に巻き込まれて......といった具合です。

 新商品のセンベイを売るために、まずは東京下町でボランティア活動に取り組みだしたサカタ。祖父仕込みの将棋や自然体な配慮で人気を集めていました。そんな時に、健康枕販売のセールス指導のバイト話が持ちかけられます。そして、サカタは、打ち合わせでいった先の会場で胸を刺された男の死体を発見してしまうのです。

 今回も「ひとりですべてができるとは思えない。でも僕が何もしなかったら。きっと何もかわらない」と事件に巻き込まれていくサカタ。

 そんなサカタには、ちょっとした楽しみがあります。ボランティアで出会った、化粧気はなく言葉が悪いが、老人にはとても優しいサッコが気になって仕方がないのです。真面目で不器用な男の恋? は発展するのかといった視点でも楽しめます。

 ごく平凡なサラリーマンにふりかかる災難の数々。1作目は大阪ヤクザ、2作目はロシアマフィア、そして、今回は地元のヤクザvs.詐欺師と、形をかえて事件に加わるサカタ。極度の「巻き込まれ体質」のサカタは、どうこの問題を乗り越えるのか、楽しみなシリーズ3作目です。



『語りつづけろ、届くまで』
 著者:大沢 在昌
 出版社:講談社
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