1月のカルロ・プラター戦では、このヒザでほぼ試合を決めていたエリック・シウバ。打撃の当て感というよりも、トータルに反応の良さが目立つ (C) MARCELO ALONSO

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8日(土・現地時間)、フロリダ州サンライズのバンクアトランティック・センターで行われるUFC on FX「Johnson vs McCall」では、新局面を迎えたウェルター級戦が12試合中5試合も組まれている。

チャンピオンGSPの長期離脱に伴い、暫定世界王者カーロス・コンディットが誕生したウェルター級は、かつてGSPの世界王座に"最強のチャレンジャー"として挑戦したジョン・フィッチ、ジョシュ・コスチェック、チアゴ・アウベスらを倒すファイターが現れたことで、その勢力分布図が大きく変化しようとしている。

ジョニー・ヘンドリックス、マーティン・カンプマン、ローリー・マクドナルド、カンプマンに敗れたジェイク・エレンバーガーなど新旧織り交ぜた新しい顔が台頭するなか、半歩下がった位置から世界を目指すファイターたちも控えている。世界最高峰のUFCウェルター級にあって、無敗の快進撃を続けられるファイターなどごくわずか、戦績的にはすぐに躓くこともあるが、その敗北を経験したなかに、やがて世界を目指す選手が含まれている。

UFC戦績1勝1敗、反則負けながらオクタゴン2戦目で黒星を経験したエリック・シウバもそんなファイターの一人だ。今大会のセミでチャーリー・ブレネマンと戦う彼は、大会前日に28歳の誕生日を迎える。MMA王国ブラジルの国内ナンバーワン・プロモーションといっても過言でないジャングル・ファイトのウェルター級王者が、昨年8月にリオデジャネイロでUFCデビューを果たし、修斗世界ミドル級(※76キロ)世界王者ルイス・ラモスを僅か40秒、左フック一発でKOしている。

続く1月のリオ大会でカルロ・プラターと対戦し、ヒザでKO直前まで攻め込みながら足にしがみついてきた相手の後頭部に鉄槌を連打し反則負けとなっている。この間、僅か29秒。両試合とも、最初のコンタクトで決定的な場面まで持ち込むことができている。打撃のみながら、過去の戦績からも分かる通り、13勝のうち7試合が一本勝ちで、そのフィニッシュ方法も相手をコントロールしてからのリアネイドチョークや肩固め、さらには際で極めるギロチンやヒザ十字と多岐に渡っている。

米国で初めての試合を迎えるが、フロリダはワシントンDCに並び巨大なブラジリアン・コミュニティが存在する土地だけに、コンディション的にはまず問題はないだろう。対戦相手のチャーリー・ブレネマンはレスリング・ベース、打撃にはやや難があるが、そのグラップリング能力は非常に高い。

通算戦績は15勝3敗、UFCでは4勝2敗だが、アウベスを破って勢いに乗ったリック・ストーリーをテイクダウンで完封した試合など、彼のポテンシャルをまざまざと見せつけた試合となった。シウバの打撃を掻い潜って、グラウンドに持ち込みトップをコントロールできれば、ブレネメンの勝機は一気に広がる。打撃と寝技に長けたブラジリアンだが、現代MMAのスタンダードである寝かされずに立ち上がるという攻防に不慣れなファイターは意外と少なくない。

頭ではガードを取って不利になることを百も承知でも、ブラジリアン柔術発祥の地では寝技の攻防を排除せず、寝技で競い合う格闘文化がはぐくまれてきた。そのためにガードのからの仕掛けという習慣が抜け切れないファイターが相当数存在する。そこが他の国のファイターに比べて、一番のストロングポイントになるが、北米ジャッジを考慮したときに、一応は背中をつけないよう試みて、ケージ際の攻防で疲弊するケースがまま見られる。

ストロングレスラーと戦う際、判定を頭に入れ、容易に背中をつけないか、スタミナのある間に背中をつけても極めやポジションの入れ替えを即実行に移すか。その辺りの判断、そして決断力がシウバにも求められる。ただし、その組みの展開になる前に、一撃必倒の打撃をブレネマンが掻い潜る必要があることを忘れてはならない。
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