「20代のうちに読んでおきたい本ランキング2012」の総合部門順位(出典:DODA)

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転職サービス「DODA(デューダ)」を運営するインテリジェンスが、恒例の「20代のうちに読んでおきたい本ランキング2012」を発表している。総合1位には、ピーター・ドラッカーの『マネジメント』が輝き、2位以下にはロバート・キヨサキ『金持ち父さん貧乏父さん』、北川義則『「20代」でやっておきたいこと』、スティーブン・コヴィー『7つの習慣』が続いた。

回答者は25歳から34歳のビジネスパーソン5000人だが、果たして本当に役に立つ本が選ばれているのか。ビジネス書ウォッチャーで『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』(マイナビ新書)の著書もある漆原直行氏に、辛口評価してもらった。

「松下や本田の方が大事なことを言っている」

漆原氏によれば、ビジネス書は「本当に役に立つもの」と「サラリーマンの教養として読んでおいていいもの」、単なる流行りモノで「別に読まなくてもいいもの」の3つに大きく分けられるという。

ランキングのうち、彼が「20代のうちに読んでおいた方がいい」と自信をもって勧めるのは、総合6位の『道をひらく』だ。著者は松下電器産業(現・パナソニック)の創業者、松下幸之助である。

「この本からは、日本人の美徳、働くことや稼ぐことの意味、人間同士のつながりの大切さ、自らを鍛え、伸ばし、成長していくうえで必要なメンタリティなど、たくさんのことを学べます」

初版から45年近くが経つが、それだけで「古めかしい」「時代遅れ」と否定するのは浅はかだ。読めば時代背景や経済情勢を超えた説得力がある。

ランキングには入っていないが、ホンダ創業者の本田宗一郎、ソニー創業者の井深大、盛田昭夫の著書もオススメだという。

逆に、20代で読むには気をつけた方がいい、人によっては「読んではいけない」本になるのが、総合2位の『金持ち父さん貧乏父さん』である。

「この本に煽られ、自分も金持ち父さんになろうと、資本家きどりで投資に走ったりして、失敗した人がたくさんいました。20代のうちは、他人を食い物にして自分だけのし上がる方法を考えるより、人とのつながりを大事にして、勤勉にやっていく基本を身につけるべきですね」

投資で成功するためには、知識や経験、才能や運も含めて、さまざまな要素が必要だ。この本に間違った影響を受けて道を踏み外すのは危ないというのが、漆原氏のアドバイスである。

ビジネス本より「星の王子様」を読め

それでは、『マネジメント』や『7つの習慣』『人を動かす』はどうなのか。

「ドラッカーはサラリーマンの教養書です。上司や取引先との話の合間に、こういう本の話題が出たときに『知りませんね』では盛り上がりません。いちおう読んでおいて、ちょっと気の利いた返事ができると『こいつ、なかなか勉強家だな』と思わせることができます」

ただ、ドラッカーの理論を深く理解するのは、なかなか簡単なことではないし、そもそも日常のマネジメントにおいて、どの程度役に立つかは疑問だ。

「付け焼き刃で『マネジメント』を読んで頭でっかちになったところで、そう簡単に部下はついて来やしませんって(笑)。時には過剰に影響されすぎないよう、適切な距離感を意識しながら本を読みこなすことが大事です」

『7つの習慣』と『人を動かす』は、いわゆる「自己啓発書」のルーツ。これも教養本として触れるのはいいが、ドップリ浸かって「意識ばっかり高すぎて、うわすべってばかりいるイタい人」になるくらいなら読まない方がいいという。

「この2冊のような原典を読めば、ここ10年くらいに出たほとんどの自己啓発書が、デキの悪い焼き直し商品であることが分かりますよ」

ところで漆原氏は、ランキングに気になる点があるという。それはITエンジニア部門で『星の王子さま』が5位に入っていることだ。

「ITエンジニアにはロマンチストが多いのでしょうか。どういう理由で選んだのか分かりませんが、この本には『大切なことは、目に見えない』など素晴らしいメッセージがたくさん入っています。ビジネスと関係なく、人として若いうちに読むべきなのは、こういう本じゃないでしょうか」