6時間労働の社内イメージキャラクター「ろくじろう」

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日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが、2012年5月から「1日6時間労働」をスタートして話題になっている。

多忙なネット業界でそんなことが可能なのだろうか。巷では「仕事はちゃんと回るの?」「お給料は減らないの?」といった声も聞かれたので、そんな疑問を思い切って会社にぶつけてみることにした。

会議資料を簡素化し、口頭で済む用件はメールしない

まず、気になるお給料だが、広報の近藤麻衣子さんから

「お給料は、就業時間が8時間のころから変わっていませんよ」

という答えが返ってきた。それほど仕事の生産性が上がっているのか。

スタートトゥデイが「ZOZOTOWN」を開設したのは、2004年12月。当時は他の会社と同じように「1日8時間」だったが、2010年8月に「7.5時間」に減らした実績がある。それから2年足らずで、さらに1.5時間減らしたことになる。

基本となる就業時間は、午前9時から午後3時まで。昼休みを廃止し、ランチを取らずにきっちり働いて帰る。労働基準法では「労働時間が6時間を超える場合には、少なくとも45分の休憩を取らなければならない」とされており、6時間以内なら休憩なしでも問題ない。

次に、仕事が回るのかという疑問だが、やはり業務の大幅な削減も一緒に行われていた。1時間単位で設定していた会議を45分に短縮。社内会議の資料をパワーポイントで作るのをやめ、簡単なメモで済ますことにし、会議に関わる時間を大幅に短縮した。

現場の社員は上役の目を気にして、簡素すぎる資料では失礼ではないか、手抜きと思われるのではないかと、つい時間をかけて作りこんでしまう。でも、この会社ではトップの前澤友作社長が音頭をとっているので、そういう不安はない。

社内の連絡メールも長文にしないよう呼びかけ、口頭で済ませられるものはメールを使わないようにした。「朝礼や日報は、本当に必要なのか」といった検討も行われている。

2交代制を取ったり、繁忙期に残業する部署はあるものの、このような工夫によって原則6時間勤務が実現できそうだということだ。

社員の2割超がカップルに!会社も交流を後押し

6時間労働になると、社員はプライベートでできることが増える。

平日でもコンサートや展覧会、イベントを楽しめる。ファッションサイトの社員が自分でおしゃれもできないほど忙しかったら、いいサービスはできない。

家族とのコミュニケーションの時間も増える。保育園のお迎えがあるためにフルタイムで働けなかった母親も、午後3時に会社を上がれるなら余裕がある。生活者の視点から、新しいサービスが生まれるかもしれない。

夫婦そろってスタートトゥデイの社員だったら、家族全員で明るいうちから夕食の卓を囲むことができる。実際、約380人の社員の2割を超える88人、44組が社内カップル。うち11組は、すでに結婚して夫婦になっているという。

会社も社内の交流を後押しする。5月から始めた「FRIENDSHIP手当」では、毎月ランダムに選んだ20ペア40人に1万円分のZOZOポイントを支給する。選ばれた人は、ペアになった相手にプレゼントを用意し、社内で毎月開かれる「FRIENDSHIP DAY」に贈り合う。

ペアは同性同士の場合もある。お互い気に入るようなプレゼントを選ぶためには、相手に関心をもって好みをリサーチする必要がある。終業後にお茶や食事に行って話を聞くことで、社員同士の交流が自然に深まっていく。

こういった施策を推進するのは、通常の会社で人事部に当たる部署。「人自EFM(エンプロイー・フレンドシップ・マネジメント)」という名称がついており、社員の友情や絆を深める役割も担っている。

時短の取組みが、単なる会社のコスト削減ではなく、「社員が社内外で人とコミュニケーションを取る時間を増やすこと」を目的にしているのは、とても新鮮な考えだ。ぜひ真似をする会社が増えて欲しいと思う。(池田園子)