「微笑みの国」タイの意外な素顔

海外駐在員ライフ Vol.150

From Thailand

タイでは笑顔が基本!「微笑みの国」と呼ばれる理由とは?


■平穏を好み、変化を嫌うタイの人々

こんにちは。SHUNです。今回は、タイの人々の興味深い特性について、さらに詳しくお話しします。

タイの人々が好きな言葉が3つあります。「サヌック(楽しい)」「サバーイ(心地よい)」「マイ・ペンライ(問題ない)」。どれも、平穏を好み、変化や緊張、ストレスを嫌うタイ人らしさがとても表れている言葉です。

だからなのか、彼らは楽しいことなら全力で楽しみます。例えば、歓送迎会などの飲み会や、Company Trip(社員旅行)では、ここぞとばかりに張り切り、仮装したり、歌ったり、踊ったりとどんちゃん騒ぎ。1カ月前から就業後に会議室を使って踊りの練習をしたり、衣装を用意したりして、K-POPのアイドルの歌と踊りをコピーしたりしています。そのエネルギーたるや大変なものです。

3つの言葉の中でも特に有名な「マイ・ペンライ」には、要注意。あるとき、ファストフード店で、フレンチフライポテトが1本腐っていたときに、店員に苦情を言ったら、「マイ・ペンライ」と返されたのです。唖然(あぜん)としましたが、こうした文化の壁を乗り越えないことには、真の理解はあり得ないのだと自分に言い聞かせています。

そして、「微笑み(ほほえみ)の国」と呼ばれるくらい、タイの人たちは常に笑顔を浮かべています。私が職場で部下を叱るときも、叱られている当人が叱られながら笑っているので驚きます。自動車事故などでも、当事者同士が笑顔を浮かべていますし、2011年の洪水のときにも、家の2階から洪水を眺めて笑っていた人がいました。

なぜ、こんなときに笑っていられるのか…。自分なりに調べてわかったのですが、彼らは、悪いことが起きると「これ以上悪いことは起こらないから」「もう笑うしかないから」という理由で、笑みを浮かべるのだそうです。私たちにはなかなか理解できないことではありますが、子どものときからそのように教育されているそうなので、これはもう「文化」なのでしょう。私も、タイでは笑顔が基本だと心得て、極力、笑みを浮かべているように努めています。

加えて、よく聞く言葉が「マイ・ミー(ありません)」。スーパーでコーヒーなどの商品を探しているとき、店員に尋ねると、何の確認もせずに平気で「マイ・ミー(ありません)!」と言うのです。でも、ほかの店員に尋ねると、簡単に見つかることがほとんど。探せば見つかるのに、なぜ「ない」と答えてしまうのかと考えたところ、「かかわりたくない」「面倒なことに巻き込まれたくない」「責任を負いたくない」という心理が背景にあることがわかりました。皆が皆そうではありませんが、これもタイ人の特性の一つといえるでしょう。


■政治の話はタブー

ところが、ふとした拍子に、タイの人々の別の一面を目にする機会がありました。例えば、2010年バンコクでの大規模デモの際。社用車の運転手が政治の話題に激高したのです。電車の中やタクシー、社用車のドライバーなどと政治の話はするなと言われていましたが、その理由が少しわかりました。

ゴルフ練習場で、態度の悪かったスタッフに相場よりも少なめのチップを渡そうとしたときも、「こんなのいらない」と拒絶されたことがあります。微笑みながら、小さい声で優しい話し方をするタイの人々でも、怒るときは怒る(キレると怖い)のだということがわかり、それからはチップの額にも気をつけるようになりました。

次回は、私のバンコクでの暮らしについてお話しします。