2011年、東日本大震災の影響でテレビ放送も異常事態だったなか、「日本でもっとも好感度の高いCM」に選ばれたものをご存知でしょうか。それは、エステーの『消臭力』のCM。外国人の少年・ミゲルくんが「ショ〜シュ〜リキ〜♪」と歌う、あのCMです。少年が街並みをバックに歌う一見シンプルなCMですが、その制作の過程では、担当者の相当の葛藤と紆余曲折があったといいます。

 まず、歌う少年に日本人ではなく外国人を起用したのは「日本人だと、そこにあざとさやわざとらしさが出てしまう気がしたから」。また、撮影の際は「決して斜め上から撮らないこと」を決めたそうです。それは、当時、津波の状況を伝える映像が斜め上のアングルから撮られていたため。こうしたCMづくりの細部を、担当者の鹿毛康司さんは著書『愛されるアイデアのつくり方』の中で話しています。

 そして、そもそもなぜ、あの「少年がただ歌を歌う」というCM案が生まれたのか。実はあのアイデア、鹿毛さんが煮詰まっていたある日、早朝にハッと目が覚め、トイレのドアを開けた瞬間に思いついたものだといいます。このひらめきがなければ、ミゲルくんが日本のCMで歌うこともなかったかもしれません。消臭剤だけに、トイレで思いついたというのも興味深いところ。

 ほかにも、撮影地となったポルトガルの首都・リスボンは、実はかつて欧州最大の津波に襲われており、そこから復興したというエピソードを持っていること、そして実はその地を選んだのは全くの偶然だったことなど、CMにまつわるさまざまなエピソードが掲載されています。

 私たちが普段目にするCMがいかに考えつくされて制作されているのか、その奥深さに触れることができる一冊です。



『愛されるアイデアのつくり方』
 著者:鹿毛康司
 出版社:WAVE出版
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