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女性にとって結婚と仕事にまつわるライフプランは、生涯を通したスタンスや価値観を形作る大きな要素のひとつ。同時に、今や結婚と並んで離婚と向き合う女性たちも決して少なくはない。全てが"予定通り"にいかない人生の中で、離婚をはじめとする、さまざまなきっかけを源にしながらも、強く自分らしく道を切り開く術を現代の女性たちは身につけているはずだ。そんな女性たちに捧げる一冊をご紹介したい。長薗安浩著「セシルのビジネス」は、32歳で離婚した立花聡子を主人公に、離婚した女性がいかに自己としてのアイデンティを確立し、精神的にも社会的にも自立していくかという道筋を描いた一種の「起業小説」だ。

ストーリーは、6度目の結婚記念日に夫から離婚を切り出された主人公の聡子は32歳が、自らの経済基盤を確立するため、男子大学生を相手にした「テレフォン・アドバイザー」というニュービジネスを始めるところから始まる。「セシル」と名乗り、1日2回、「客」である男性に電話をかけ、世間話をしたり相談に乗ったりするというものだ。母親や友人も巻き込み、順調に推移するかに見えたが、彼女の前に池内太郎という大学生が現れ、事態は急転する・・・。
「人と話す」こと、電話で会話を重ねること、それは最もシンプルな自分と他人とのコミュニケーションの形。しかし自分と他人との間で、ひとつずつ積み重ねられていく会話のなかにこそ、人生の醍醐味が醸造されていく。本書には、「人は人と話をしなければ生きていけない」そんな、シンプルなようでいて奥深いテーマが根底に流れており、日々の何気ない会話によるコミュニケ―ションについて改めて思いをめぐらさせてくれることになるだろう。仕事にプライベートに、日々奮闘する幅広い世代の女性たちの共感を呼ぶこの一冊。ぜひ一読してみてはいかがだろうか。

セシルのビジネス」長薗安浩著
小学館文庫/定価600円(税込み)


長薗安浩氏オフィシャルWebサイト