2001年の映画『アメリ』で一躍スターの仲間入りを果たしたフランス人女優、オドレイ・トトゥ。最近ではクロード・ミレール監督の最後の作品でダークな一面を披露し、新たな評価を得ている。

この映画『テレーズ・デスケルウ/Therese Desqueyroux』でオドレイが演じるのは、夫に毒を盛る妻。27日に閉幕した第65回カンヌ国際映画祭のクロージング作品にも選ばれた。『なまいきシャルロット』や『リュミエールの子供たち』で知られ、4月にがんでこの世を去ったクロード・ミレール監督の遺作でもある。(日本公開は未定)

原作は、フランスの作家フランソワ・モーリアックの同名小説。うっぷんを抱えた妻が、自由を得るため夫をヒ素で殺そうとする物語で、ミレール監督はオドレイの内側にあるダークな一面を引き出した。

「私を"自由に解き放つ"ことはなかったけれど、(作品に出たおかげで)さらに映画というものを探求してみたいと思った」と、オドレイ。「素晴らしい経験だったわ。自分が演じるテレーズを怖がらないようにする必要があった。人間のダークな一面にたどり着きたかったのよ」

オドレイの代表作でファンタジー・コメディー『アメリ』からは、はるかに遠い位置にある『テレーズ...』。『アメリ』でスターとなった彼女だが、それから10年後、『テレーズ...』の"夢のような脚本"が自分を成長させるきっかけになったと振り返る。

「今の私は、22歳のときの自分とは違うの。若くて純情な少女の役にはもう、ひかれないわ。テレーズは、まったくの新たな領域へと私を連れて行ってくれた」

ミレール監督と一緒にカンヌの地を踏めなかったのを、残念に思っているというオドレイ。監督は最期まで輝き、情熱に満ちていたと称賛していた。

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