2001年アニメ化された『シャーマンキング』。打ち切りから完全版での復活を遂げ、今ここに過去の物語が明らかにされる!「シャーマンキング0」は主人公達の過去を描いた短篇集。今連載中の、息子花の物語「シャーマンキングFLOWERS」とあわせて楽しもう! ところで一巻ってことは二巻も出るのかな?

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『シャーマンキング』が、帰ってきた!
ジャンプっ子ならみなさんご存知、そうじゃなくてもアニメで見た方も多いと思われる『シャーマンキング』。
そのビギンズとも言える始まりの物語「シャーマンキング0」が発売されました。

2001年にはアニメ化された作品ですが、2004年に打ち切りになった事件は有名。
クライマックスとも言える戦いの前日に「寝るぞー!」と叫んで、そこで打ち切りになった、という前代未聞の事態の作品でした。
「寝るぞー!」で検索したら大体この話が出てくるくらいに有名です。
ボス級に強い相手のハオが「プリンセスハオ」として夢の中ででてくる、画面の中に「みかん」が描いてあって「未完」をほのめかす。
いろんな意味でとんちんかん。当時多くのファンを驚かせたものです。

それが、復活したんです。
ここで簡単にシャーマンキングの掲載の流れをさらっておきます。

『シャーマンキング』は1998年から週刊少年ジャンプに掲載されました。
仏教からキリスト教、土着の神々崇拝までなんでもござれ。
シャーマンになった人間が、仏やら、天使(?)やら、動物霊やら、侍やらの霊を召喚するんですよ。かっこいい!
「ぼくの考えたシャーマン」大集合状態です。宗派とか関係ないよ。

主人公のひょうひょうとした少年麻倉葉は、500年に一度開催されるシャーマンたちの戦い、「シャーマンファイト」に参戦。そのトップであるシャーマンキングを目指します。
ここで出てくる「シャーマン」は割りと広義。霊を呼び出すことができる、というくくりです。
登場人物も多様。、葉は侍の阿弥陀丸を呼び出すというオーソドックスですが、北海道のホロホロはコロポックル、インディオの黒人チョコラブはジャガーの霊、アイアンメイデン・ジャンヌは古代バビロンの太陽神シャマシュ……と、付喪神から神霊レベルまで出てくる霊はさまざま。
それらが一同に介して戦う能力バトルは、楽しかったですねえ。次はどんな相手が出てくるんだろう、どんなキャラなんだろう?
中には見えるか見えないか程度の小さなピクシーを使役していても、巨大な霊より強かったりします。「強い霊=強いシャーマン」ではないんです。
あくまでもシャーマンとしての巫力と霊とのコンビネーション、そして根性でどう切り抜けるかが見所。

こう書くと極めて熱血あふれる作品に見えますが、それだけじゃないんだな。
主人公の麻倉葉は、柳に風のようなゆるーい考え方の少年。「なんとかなる」が口癖で、シャーマンキングになろうとした理由も何かを救うとかではなく「楽に生きられる世界を作る」というな思考の持ち主です。
人生の悲哀を演歌のように取り込んだ世界観はかなりクセがあります。
熱血冒険型演歌ストーリーとでも名づけましょうか。

打ち切り後、単行本発刊時に後日談として、戦いが終わった後の様子が少しだけ描かれました。
それでもストーリーとして破綻し、描かれるべきところが描かれていませんでした。
打ち切り作品ですが、実は数多くのファンが根強くおり、「いつ完結編がでるの!?」と待ち焦がれていたんです。
そこにきて、2008年から『シャーマンキング完全版』が発売。
ついに2009年発売の26・27巻で、380ページ近くの書き下ろしが追加され、本当の意味で完結したのです。

そして、今回の「シャーマンキング0」です。
「『シャーマンキング』は登場人物、誰ひとりとして楽してシャーマンになっていません。
もう苦しみの連続の中で生きている。そんなメインキャラのサイドストーリー集になっています。
一巻で描かれるのは、麻倉葉、ライバル格の道士タオレン、北海道のアイヌ戦士ホロホロ、ロンドンの復讐の少年探偵リゼルグ、そしてハオが集めた強力で珍妙な仲間たちの過去の物語です。

個人的にはホロホロの話をプッシュします。
漫画の中では熱血バカで空回りの多い彼ですが、彼の持霊コロポックルのコロロの過去を読むことが出来ます。
もうね、やるせないんだ。ギリギリ人の「生と死」の道を飛び出してしまっちゃってるんだ。
やっぱり並大抵の人生じゃ、シャーマンの力なんてそうそう手に入らないんだな。

それがお涙頂戴じゃなくて「苦しい奴らが集まれば案外笑える」というのが武井宏之作品の珍妙なところ。
誰一人として幸せな人間はいないのに、妙に肩の力を抜いて「なんとかなる」と思って読めます。
今回の「シャーマンキング0」も内容はとてつもなく重いんですが、タイトルの時点で腰が砕けます。
「ニュー・シマネ・パラダイス」
「タンス・with・WOLVES」
「摩多川アンダーザブリッジ」
ゆるすぎだよ。
基本的にこの腰抜けた感じで重い話をするので、読後感は悪くないです。

「人は痛みを知ってはじめて真の強さを得る」
現在は「ジャンプ改」にて、葉の息子花を描いた「シャーマンキングFLOWERS」の連載が始まりました。
一度はとんでもない打ち切りになった作品が、またよみがえり花咲きました。
もう10年近くの幅をおいての復活。
世代を超えてシャーマン話に花が咲かせたら、楽しいじゃん?
(たまごまご)