5月27日に閉幕した第65回カンヌ国際映画祭。最高賞にあたるパルムドール(Palme d'Or)に輝いたのは、ミヒャエル・ハネケ監督の『アムール/AMOUR(愛、Love)』だった。

ハネケ監督がパルムドールを手にするのは2度目のこと。タイトルどおり愛がテーマで、年老いた夫婦が妻の病状の悪化に向き合う物語だ。出演は御年85歳のエマニュエル・リヴァ(妻役)と、ジャン=ルイ・トランティニャン(81歳、夫役)。審査員を務めたジャン=ポール・ゴルチエは夫婦を演じた2人のベテラン俳優を絶賛した。

また、ハネケ監督はこの作品ができた理由として、「家族との関係で感動を経験したから」と告白。彼はさらに、自身の妻に対し、この映画のように"自分たちは一生、お互いを見捨てはしない"と約束したと話している。

<Huffington Post>によると、暴力シーンの多いハネケ作品において、今回の作品に率直な人間性が描かれていたことに驚きを表す人もいたという。だがハネケ監督はこれに対し、「ジャーナリストは監督1人1人に、何かとレッテルを貼りたがる。僕は長い間、"バイオレンスのエキスパート"とされてきたんだ」と、異を唱えた。彼はまた、映画のスタイルは題材とマッチするべきで、監督自身にではないともコメント。「この映画は"愛"についてなんだ」と改めて説明した。

2009年のミステリー『白いリボン』でもパルムドールを手にしているハネケ監督。パルムドールを2度獲得した監督は、これで7人目になるという。

第65回カンヌ国際映画祭の主な受賞結果は以下の通り。

<長編映画>
パルムドール 『AMOUR』 ミヒャエル・ハネケ監督

グランプリ 『REALITY』 マッテオ・ガローネ監督
(犯罪サスペンス『ゴモラ』で2008年の審査員特別グランプリを受賞)

監督賞 カルロス・レイガダス監督 『POST TENEBRAS LUX』

審査員賞 『THE ANGEL'S SHARE』 ケン・ローチ監督
(戦争ドラマ『麦の穂をゆらす風』で2006年のパルムドールを受賞)

男優賞 マッツ・ミケルセン (『JAGTEN/The Hunt』トーマス・ヴィンターベア監督)

女優賞 クリスティーナ・フルトゥ、コスミナ・ストラタン (『DUPA DEALURI/Beyond the Hills』 クリスチャン・ムンギウ監督)

脚本賞 クリスチャン・ムンギウ (『DUPA DEALURI/Beyond the Hills』)

<短編映画>
パルムドール 『SESSIS-BE DENG/Silent』 L・レザン・イェシルバス監督

カメラドール 『BEASTS OF THE SOUTHERN WILD』 ベン・ザイトリン監督

ブラッド・ピットやニコール・キッドマン、ロバート・パティンソン&クリステン・スチュワートと、ハリウッドスターが多く登場した今回の映画祭。来年はどんな作品が登場するのか、今から楽しみだ。

<カンヌに登場したロバート&クリステン>