大阪市は5月24日、職員約3万3500人を対象に行なった入れ墨調査で、回答を拒否した職員513人に対し、職務命令違反を理由に減給か戒告の懲戒処分にすることを決めた。同調査では、すでに110人が「入れ墨を入れている」と回答。回答拒否の職員を懲戒処分にすることで、発覚逃れを防ぐ狙いだ。

 この調査で、最も多くの入れ墨職員がいることが分かったのは環境局だ。同局では、今回の調査に先立って独自のアンケートを実施。そのときは約50人の職員が「入れている」と答えていた。ところが、今回の調査で環境局は、なんと73人が入れているという結果が出た。一方で、職員約6500人を抱える交通局では15人が入れ墨を入れていることが明らかになっている。

 実は、今回の入れ墨騒動における橋下徹市長の本当の狙いは、この交通局と環境局の改革にあるという。大阪在住のある財界人が語る。

「今回の入れ墨調査の狙いは、ずばり交通局と環境局。市営地下鉄や市バスの運転やごみ収集など、オフィスではなく現場で仕事することが多い、いわゆる現業部門です。交通局は給料が高すぎると以前から問題になっていたり、営業所内に豪華なトレーニングセンターをつくったりということが話題になっていた。環境局も同じです。実はこうした問題ありとされている現業部門を徹底的に“叩く”のが市長の狙いです」

 大阪市の交通局と環境局には、どんな問題があるというのか。大阪市政担当の地元紙記者はこう話す。

「大阪市は組織的犯行のような不祥事から破廉恥罪に至るまで、毎月10人、15人という職員が処分されています。逮捕者も年間20人ぐらいは出ているはずです。仮に大阪市を従業員数3万3500人ぐらいの企業に見立てたとして、その会社から毎年20人の逮捕者を出しているなんて、そんな会社、誰も相手にしませんわ(笑)。けど、それが大阪市役所の現実なんです。橋下さんは、こうした職員の不祥事を減らしたいという気持ちがあったはずです」

 ところが、市長に就任して半年がたっても、職員の不祥事は一向に減る様子がない。それで橋下市長も業を煮やしたのではないか、という。

「そういった不祥事ですが、橋下市長が執務している淀屋橋の市役所本庁舎から勤務地が離れれば離れるほど、『市長の言うことなんか、どうでもええやん』という感じの人が増えて、職場の規律が乱れているのが実情です。今回、入れ墨を入れていたと答えた人はほとんど淀屋橋の人ではない、現業部門の人たちばかりですからね」(地元紙記者)

 橋下市長は、単に入れ墨の有無を問題にしているわけではなく、本当の狙いは不祥事が多い両局の改革にあるようだ。

(取材/頓所直人、ボールルーム)

■週刊プレイボーイ24号(5/28発売)「入れ墨大戦争、真の狙い」より

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