電力・ガス編

業界トレンドNEWS Vol.132

消費電力量の23パーセントが原発から供給されていた日本。東日本大震災後にどう変化した?


■原発稼働停止、燃料費高騰などで先行き不透明。再生可能エネルギーへの取り組みが活発化しそう

電力・ガス会社は、暮らしや工業生産に欠かせないエネルギーを調達・供給している。そのため、従来は景気の変動を受けにくい、安定した業界と言われてきた。しかし、東日本大震災の発生後、その事業環境は激変している。電気事業連合会によれば、2011年度の電力需要実績は、震災の影響・節電などの取り組みによって対前年比で5.1パーセント減少した。一方、一般社団法人日本ガス協会によると、都市ガスの販売量実績は対前年比で1.8パーセントの増加。原子力発電所の稼働停止により、電力会社や工場がガス火力発電機の稼働を増やしたことで、工業用需要が増えた結果だ。

震災前、日本における消費電力量の約23パーセントは、原発によってまかなわれていた。しかし、原発の停止によって電力供給量は大幅に低下。現在、電力会社各社は火力発電所の再稼働などにより、当面の代替電源を確保しているところだ。その結果、燃料費が大幅に増えて各社の経営を圧迫している。原発の稼働停止は長期化する可能性もあり、その場合、電力会社の経営環境や電力供給体制に重い負担となるだろう。

もう一方の供給サイドであるガス会社にとっても、震災の影響は大きかった。都市ガスの主原料であるLNG(LiquefiedNaturalGas:液化天然ガス)の国内価格は、11年度、対前年比で66パーセント上昇。原因としては、震災によってLNGの需要が急増し、短期契約による調達を余儀なくされたこと。そして、日本のLNG価格は原油価格と連動する契約になっている場合が多く、中東の政情不安などで高騰している原油相場に強い影響を受けたことなどが挙げられる。米国などでは「シェールガス」(固い岩盤に含まれる天然ガス。次世代のエネルギー源として注目されている)の採掘拡大によって天然ガスの価格は低下傾向にあるが、米国の輸出制限などがあり、日本は今のところ恩恵を受けられていない。

足下の電力需要は、節電などによって震災前より少なくなる見通しだ。ただし、中長期的には、原発の再稼働、代替エネルギーの模索、燃料費の価格推移、工場などにおける輪番操業の実施など、エネルギーの供給側・需要側ともに不透明な部分が大きい。業界志望者は、最新のニュースを常にチェックする必要があるだろう。

今後の電力業界では、太陽光発電など自然エネルギーの活用、分散型の発電・送電システムの構築など、新たな取り組みが進みそうだ。また、法律改正によって「電力の自由化」が進み、さらに12年7月から「再生可能エネルギー固定価格買取制度」が開始されることで、独立系発電事業(IPP/卸電力事業とも呼ばれる)などが続々と参入。競争が激化し、業界構造も大きく変わるとみられる。一方、ガス業界では、ガスタービン発電などによる電力事業への参入や、「エネファーム」(家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの愛称)の拡販により、新規需要を拡大しようとする動きが活発。どちらの業界でも、安定志向な人より、チャレンジ精神を持つ人材が求められるだろう。