ブレービーの系譜を継ぐ現在の球団マスコット、バファローブル<右>とバファローベル<左>。2012年4月撮影

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オリックス・バファローズのLEGEND OF Bs 2012〜劇的、激動の80s の第一弾が25日、26日に開催された。前身の阪急ブレーブスのユニフォームに身をまとい、かつての本拠地、西宮球場があった兵庫県のほっともっとフィールド神戸でカープ相手に二連戦を行った。山田久志山沖之彦が始球式を務め、マスコットの草分け的存在“ブレービー”も復活した。第二弾は6月2日、3日に場所を京セラドーム大阪に変えてジャイアンツとの二連戦で行われる。

ユニフォームを復刻させ、OBが始球式を行い、マスコットも復活と、当時を知るファンをノスタルジックに浸らせるだけでなく、若いファンにも故きを温ねて新しきを知る、バファローズだけでなく日本のプロ野球に対してより深く興味を持つ格好の機会となり、素晴らしい試みだと思う。

だが、敗戦処理。には一つ引っかかる。それはマスコットの“ブレービー”の復活だ。




今や十二球団くまなくマスコットが存在し、ファンとチームを結ぶ、ファンからすれば選手より少し身近な存在としてなくてはならない存在となった。日本プロ野球界の歴史をひもとけば、その草分け的存在として旧阪急ブレーブスのマスコット、ブレービーの存在なくして、今日のマスコットブームは語れないといっても過言では無かろう。そう考えれば、オリックス・バファローズが阪急ブレーブス時代を振り返る企画の中では当然触れられる存在だ。だが、マスコットを復活させるというのは簡単なことではないと思う。


 

マスコットを復活させるというのは簡単なことではないと思う。特にブレービーの場合、ブレービー特有の事情もある。ブレービーの“中の人”が元プロ野球選手というのは周知の事実だ。かつてジャイアンツからドラフト1位で指名され、その後トレードで阪急ブレーブスにも所属した島野修さんだ。島野さんは選手としては残念ながら大きな活躍は出来なかったが、“かつての栄光のドラフト1位は今…”という形でマスコミによく取り上げられ、チームのマスコットに転身したことが有名になった。

ひょっとしたら、現役の十二球団のマスコットの中にも“中の人”が元プロ野球選手というのもいるかもしれない。しかしそれは公にはされていない。「中の人などいない!」とよく言われるようにマスコットは皆、マスコットという一人(一匹
!?)の人格なのだ。そういう意味ではファンはマスコットの“中の人”の存在を意識はしているものの、それが実際に唯一公になっているのがブレービーなのだ。




ブレービーの“中の人”、島野さんは既になくなられているから、この二日間フィールドに現れたのは別の“中の人”が演じたブレービーだ。それは当時のブレービーに思い入れのあるファンにとってはブレービーに似て非なる者にしか映らなかったのではないか。


別の“中の人”はおそらく島野さんが演じていたブレービーをビデオで勉強してそのパフォーマンスを寸分違わず真似をしていると思う。当時はちびっ子ファンだった人が親となって子供を連れて球場に来て、子供に「昔のブレービーはあんな感じじゃなかったけどね」などと言われたらたまらない。今の“中の人”は必死に島野さんのパフォーマンスを勉強したことだろう。

だがその真似が完璧だったとして、観る側がマスコットの復刻、復活として納得するだろうか?もちろんこれは他球団で過去のマスコットにも当てはまることだが、ブレービーの場合、唯一“中の人”が誰だったか周知の事実となっているのだ。

今回の企画でOBである山田久志山沖之彦が始球式を行った。来月の第二弾ではブーマー・ウエルズ簑田浩二が始球式を行う。彼らは全員、現役を離れてから久しい。投手出身の二人でさえ、当時の投球が再現できるわけがない。投球ばかりか、山田久志の華麗なアンダースローのフォームも再現されなかった。そりゃそうだ。歳月とはそういうものだ。

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(20101月のOBオールスターゲームでの山田久志)当時の熱狂的な山田ファンが観ていたとして、山田の始球式の結果に怒るものはいないだろう。だがマスコットに関しては元のマスコットのパフォーマンスが映像などで残されていれば、この先何年経っても、別の“中の人”によって復活できる。しかしそれはマスコットだからであって、例えば山田の投球フォームを物まねする名人がいて、体型もそっくりで顔も遠目に見れば似ている人がいて、一球限定の始球式であれば当時のユニフォームを着てマウンド上で山田久志を演じることは可能だろう。だがそんなことをしてもファンは喜ばないだろう。歳月を経て衰えていようが、現在の山田久志が当時のユニフォームを着て投げる一球にこそファンは喜ぶのだ。そう考えると、安直にマスコットを復活させるという発想には至らないだろうというのが敗戦処理。の引っかかる点だ。

どうせなら、スコアボードの電光ビジョンでバファローズ選手の得点シーンなどを流す際に当時のブレービーの映像をCG合成し、さもグラウンドではかつてのブレービーが現在のバファローズの選手と絡んでいる様に見せて欲しいものだ。スコアボードのビジョンで流すCG映像だから、球場に行ったファンにしか体感できないブレービーの復活を味わってもらえる。技術的に不可能なのかもしれないが…。

もっともファンの中には、バファローズでいえばブレービーの後継者として活躍したネッピーリプシーの退任を惜しむ一方で新しいマスコットのバファローブルとバファローベルが誕生すれば掌を返した様に新しいマスコットを支持する目移りするファンが少なくないのも事実。

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むしろ「オレはリプシーのファンだったからブルとかベルとか認めない…」等というのは少数派だろう。

また
バファローズではないが、横浜ベイスターズが身売りして新チームになるのに伴って、長くファンに親しまれたホッシーファミリーの卒業が明らかになった時、存続希望の署名を受け付けるサイトまで出来上がり、かなりのファンが署名したという。
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彼らは新生
DeNAが後任のマスコットを誕生させることを想像せず、ホッシーファミリーの卒業イコール新球団にはマスコット不在とみなして惜しんでいたのか?それとも親会社が変わろうともベイスターズ球団のマスコットはホッシーファミリー以外はあり得ないと考えたのだろうか?

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横浜
DeNAベイスターズの新たなマスコット、DB.スターマンはおおむね好評と聞いているが、ホッシーファミリーの存続を署名してまで希望したファンはどう思っているのだろうか?すぐに受け入れたのか?だとしたらマスコットなどかわいくて親しみやすければ、誰でもいいのだろうか?必ずしもそうではないだろう。ホッシーはあくまでホッシーであり、DB.スターマンはあくまでDB.スターマンである。蛇足だが敗戦処理。はDB.スターマンには愛着を感じるがホッシー、ホッシーナ、ホッシーゾホッシーファミリーの三人には何の思い入れもない。(※まれに誤解されるが、旧シーレックス時代からのベイスターズのファームのマスコット、レックはホッシーファミリーの一員ではない。)

バファローズ球団はそうしたファン心理まで考えを及ばせたうえで、ブレービーを復活させたのだろうか?

スポーツニュースとパ・リーグTVで今回のブレービーのパフォーマンスの一部を敗戦処理。は見た。当時のブレービーの特有の動きとかを記憶していないので今回のブレービーを採点出来るものでは無い。当エントリーを読んで下さった方の中で、新旧のブレービーを比較できる方がいらっしゃったら、ぜひ感想を聞かせていただきたいものだ。