すき家の新メニュー「たまごかけごはん朝食」はごはん、みそ汁、生たまご、しらすおろしの4品で200円。販売は午前5時〜10時30分

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 牛丼業界での値下げ競争が盛り上がったのも今年の初め頃まで。今はすっかり落ち着いた感がある。というより、各社とも、もはや牛丼の値下げ競争には息切れ状態となっている。

 ところが、5月15日の朝5時、新たな戦いの火ぶたが切られた。今度の戦場は朝メシ。

 この日、ゼンショーが展開する「すき家」が朝食メニューに200円ポッキリの「たまごかけごはん朝食」を投入したのだ。外食で200円という値段も驚きだが、まさかTKG(たまごかけごはん)を持ってくるとは! すき家も思い切ったもの。

「朝食メニューは今までも販売しておりました。これまでで一番安かったのが、『朝食セット』で280円という商品でした。それをブラッシュアップした商品として、たまごかけごはん朝食を出しました」(ゼンショー・広報)

 早速、初日の朝イチにすき家に駆け込み、実食した。出されたお盆に載っていたのは、ごはん、油揚げとわかめのみそ汁、しらすおろし、そして、“メイン”の生たまご、それに、たまごかけごはん専用の「すき家特製たまごかけしょうゆ」という布陣である。

 気になるお味……も何も、たまごかけごはんはウマいよ、そりゃ。途中で七味唐辛子をかけてアレンジしたりして、あっという間においしくいただいた。200円ならそこそこの満足感を得られる。これを受けて立つ(であろう)ライバルチェーンにとっては、厄介な商品が出てきたといったところではないだろうか。

「すき家さんがやるからウチもやるというのはないと思います。今のところはなんとも言えません」(松屋フーズ・広報)

 静観しているものの、牛丼にしても、すき家の価格にことごとく追いついてくる「松屋」の動きは気になる。特に「今のところはなんとも言えない」という含みを持たせるあたり、何かニオう?

「吉野家」はといえば、すき家の200円朝食については、「他社さまのことなので、コメントはできません」と前置きしながらも、

「朝食は食べない人もたくさんいますから、以前はさほど重視されていませんでした。しかし、外食産業にとっては夜も昼も、特に昼食は飽和状態ですからね。そうなると、やはり残された時間帯に活路を求めていくとか、さらなる売り上げの場を求めていくというようなことは出てきますよね」(吉野家・広報)

 と、朝メシの戦略的な位置づけの重要性を説いてくれた。

 松屋も吉野家も、これまで守ってきた朝の定食の下限350円という価格を見直す可能性もあるかもしれない。となれば、まさしく“朝メシ200円戦争”が始まることになる。今後の業界の動きを経済評論家の森永卓郎氏に予測してもらった。

「このままだと、たぶんすき家のひとり勝ちになると思います。なぜかというと、サラリーマンのお小遣いがここのところずっと下がり続け、昨年もバブル崩壊以降の最低を更新していて4万円を切りました。なかでも昼食代が特に落ちていて、10年前は710円だったのが、今は490円まで落ちている。真っ先に切り詰められるのは昼食代、そして、朝食を外で食べなければならないサラリーマンにとっては、朝食代なんですね」

 そこに200円はインパクト大だ。

「牛丼業界では結局、メニューの質よりも価格のほうが圧倒的に優先されるということが明らかになりました。だから、300円台の朝食メニューに200円をぶつけたら、200円が勝つに決まっているんです。これから他社も質を落として価格競争をしていくことになると思います」(森永氏)

 牛丼値下げ競争時に「価格競争ではなく、質を高めて存在感を高める」と吉野家の安部修仁社長がコメントしていたところを見ると、吉野家がすぐにすき家の後を追うとも思えないが、松屋を含めて、朝メシ200円戦争の行方が気になるところだ……。

(取材・文/頓所直人)

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