顧客の行動履歴を分析し、その結果を活用することは、多くの企業にとって経営戦略上プラスになるだろう。

北米のあるクレジットカード会社では、1日あたり1億件の取引が発生している。また、これらのデータを過去10年間にわたり蓄積しているという。

この会社は、IBMの支援のもと、大量のデータを分析。不正行動が行われる際にどんな動きがあるのかといったモデルを生成することに成功した。仮に、不正行動に合致する動きがみられたときには、決済を承認する前に警告を発信。その結果、12億ドルもの不正利用被害を予防できたという。

ソーシャルメディアへの書き込みをサービス開発に活かす動きもある。

米インディアナ大学では、Twitterにおける大量のつぶやきを分析し、株式市場に関する言葉から得られる感情を、「平穏」「注意」といった6種類に分類し、株価を予測。その後のダウ工業株平均と比較をした結果、3〜4日先の株式市場の動向を、86.7%の精度で予測できたという。

日本でもカブドットコム証券が、1日約900万行のソーシャルメディア上の情報を収集。サービスとして提供するための実証実験を行っている。

気象情報や交通情報など、異なる管理下にあった情報を相互に利用できることも、ビッグデータ時代の大きな特徴だ。これは、イノベーションを起こす絶好の武器となる。

トヨタ自動車が描く近未来の自動車の姿は、こうした時代を象徴したものだといえよう。同社では、近未来の様子を次のように描いている。

朝、目を覚ましたビジネスマンは、枕元のスマートフォンを手に取る。画面には、会社までかかる時間を逆算し、自宅の出発時間が表示されている。所要時間は、渋滞状況や回避ルートを通行した場合の経路、その日の気象情報などから算出したものだ。

自動車は出発予定時間までに空調を行い、寒い日や暑い日でも車内を快適な室温に設定してくれる。さらに運転中も、見通しの悪い場所では別の車両が自分の車に接近していること、走行ルートの先に豪雨地帯があるといった情報を知らせてくれる。これも複数の情報が連動することによって実現するものであり、まさにビッグデータ時代ならではの姿だといえる。

そのほか農業分野、医療分野への応用も期待されている。人々の生活を豊かにする――。これが企業の使命だとすれば、ほぼすべての企業にとって何らかのチャンスがあるはずだ。

※すべて雑誌掲載当時