松竹梅。三つとも寒さに耐えるところから、歳寒の三友とよび、めでたいものとして慶事に使われる言葉です。一般的には、「松」が最も良いとされ、次いで「竹」「梅」と並ぶ場合が多いですが、なかには、「梅」を最上級にする場合もあり、明確な優劣があるわけではないようです。

 とはいえ、この春に始まった、女優・堀北真希主演のNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』では、優秀な兄と姉をもつ末っ子の梅子(堀北)が、「しょせん私は松竹梅の梅よ」と思いながら、終戦後の新たな時代を生き抜く姿を描いており、梅はやはり下の扱いになっています。

 そんな「松竹梅」がそのままタイトルとなった書籍があります。パフォーマンス集団「鉄割アルバトロスケット」を主宰し、『まずいスープ』『ぴんぞろ』が芥川賞候補に選出された、戌井昭人氏の『松竹梅』です。

 同作に登場するのは、愛すべきバカ3人組。実家がスナックで歌がうまい松岡、お調子者の反面、プロボクサーを目指している竹村、そして、吉原勤めの姉と二人暮らしをしている転校生の梅田、まとめて「松竹梅」と呼ばれていた3人は、小学5年生。そのようなおめでたい名前とは裏腹に、彼らは他の生徒・先生にはほとんど相手にされず、教室ではゴミ箱の裏に吹きだまったホコリのような存在でした。

 「勝手に生きろ新しい子供達」

 と、戌井氏が強いメッセージを込めた同作は、生活しにくい街のなかで、個性的な人々と関わり合いながら、まっすぐ、そして、ちょっと優しく育っていく3人組を描きながら、のんびり物語が進みます。「男子」を愛するすべての人に読んでもらいたい一冊です。



『松竹梅 (真夜中BOOKS)』
 著者:戌井 昭人
 出版社:リトル・モア
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