ヒンヤリとした隙間風が気になる−−。
 夏場所が5月6日から両国国技館で始まっている。目玉の一つは、鶴竜(26)の昇進で史上最多の6人にふくらんだ大関陣の争いだが、優勝争いの本命はやはり横綱白鵬(27)。しかし、初日前、春日野部屋に出稽古し15戦15勝するも、万全とは言い難いのだ。

 先場所は、千秋楽に先頭を走っていた鶴竜がプレッシャーに押し潰されたため逆転優勝し、優勝回数を貴乃花に並ぶ22に伸ばしたが、内容的にはいま一つ。鶴田卓彦・横審委員長も、「春場所、優勝したといっても、1昨年は4回もあった全勝優勝が去年から1回もない。勝ち星の数を見る限り、もうピークは過ぎたのではないか」と懸念を示している。
 そういえば、ゴールデンウイーク中に一般公開され、7500人が詰めかけた稽古総見でも、日馬富士を除く5大関と対戦して8勝4敗。
 終盤の琴欧洲、把瑠都とは3勝3敗の五分で、もうかつての図抜けたパワーは完全に色あせていていることを強く印象付けた。

 加えて、かつて一心同体の蜜月を誇った師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)との間にも気になる亀裂が生じている。それを露呈したのが先月27日、朝日山部屋で行われた立浪一門の連合稽古だ。宮城野親方はてっきり白鵬もやってくるものと思って朝日山部屋に出掛けたが、なんと白鵬は勝手に友綱部屋に出向き、師弟が前代未聞のバラバラ状態になったのだ。
 「白鵬がひそかに根回ししていた大島部屋と宮城野部屋との合併話を、宮城野親方が断ったため、先場所あたりから2人の仲がおかしくなりました。出稽古すれ違い事件のあと、白鵬は『朝日山に行っても稽古相手となる関取がいないと勘違いして友綱に行った』と弁解し、翌日は連合稽古に顔を出していますが、師弟関係がまだ修復されていない証拠といってもいいでしょう。白鵬は優勝回数もベスト5に入り『だんだん以前の謙虚さ、素直さが薄れて来た』と話す関係者もいます。朝青龍も、優勝が20回を超えたあたりから急激に手に負えなくなりましたからね。白鵬もそうでなければいいんですけど」(大相撲担当記者)

 こうした余計な雑音や波風を封じるには、単なる優勝ではなく、6大関を力でネジ伏せて優勝するしかない。白鵬、ある意味で正念場だ。