最近、よく耳にする「ノマドワーカー」。決まった仕事場を持たずに自由に働く彼らの必需品、そして実態とは?

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「ノマド」という働き方が一部で注目を浴びている。特定の事務所や席を持たず、カフェやファミレス、取引先のオープンスペースなどを使いながら、まるで遊牧民(ノマド)のように転々とするスタイルだ。

ノートPCやスマートフォンなどのモバイルツール、Wi−Fi環境の充実により、決まったデスクがなくとも仕事ができる環境が整うようになったことを背景に、その数を増やしている「ノマドワーカー」。つい数年前に注目されたSOHO(ソーホー/小さな事務所や家で仕事をするスタイル)をも「古めかしい」(本田直之著『ノマドライフ』〈朝日新聞出版〉より)と切り捨てる最先端ワーカーの実態を追った。

「MacbookとWiMAXルーター、そしてこのHyperJuiceがあれば、いつでもどこでも仕事ができます!」

そう豪語するのは、ウェブデザイナー、ウェブディレクター、ウェブプランナーなど複数のカタカナ職業の肩書を持つAさん(東京都在住・30歳)。HyperJuiceとは、Macbookの外部バッテリー(非純正品)だ。「電源を気にせず、どこでもPCを使えて便利♪」とルンルンなAさんだが、はたから見ればその生活はかなりハード。

「夜から朝にかけてファミレスで作業。眠くなるとテーブルに突っ伏して熟睡します(笑)。朝になるとマクドナルドに行って、朝マックで安く朝食を済ませつつPC関連機器を充電。昼になると混み始めるので、コンビニでおにぎりを買って昼食を済ませ、スタバに入ってウェブの更新をします。夕方はコンビニでパンを調達し、食べながらファミレスに向かう。これが一日の主な流れ。使うお金は1000円ちょっとです」

忙しいときは2日も家に帰らないというAさん。そもそも、なぜ家で仕事をしないのか?

「6畳のワンルームじゃ仕事のスペースがない。それに外のほうがいいアイデアも浮かびますから」

しかし、ウェブ制作の仕事はフェイスブックの影響で減ってきているらしく、「仕事の9割がアイデアを必要としないウェブ更新」だという。月収は20万円強と、費やす時間の割に少ない。転職を考えたりはしないのだろうか?

「決まった場所に毎日出社するなんて無理。カフェで自由に仕事がしたい!」

その笑顔には一点の曇(くも)りもなく、心配無用と言いたげだ。

一方、ウェブ管理をしているBさん(神奈川県在住・31歳)の仕事場は、スタバ(スターバックスコーヒー)。仕事の大部分はリサイクルショップに代わってヤフオクへ出品することで、ほかにネットでのペット販売も手がけるが、そちらは今はほぼ稼働していない。

「商品説明の文面はコピペですから、撮影さえ済ませていれば、このiPadでどこでもできます!」

最新のiPadを手に笑顔のBさんだが、これらの総収入は月10万円にも満たない。

「最近、個人で影響力を持ってビジネスにつなげられればと、ツイッターを始めました。BOT(ボット)機能で自動的につぶやくようにしているから楽チン。フォロワーは2000人まで増えました。フォローしている人? 1500人ほど」

夢は「ぶらぶらカフェを渡りながら仕事をする。自分を慕したってくれる人たちと、面白おかしく生きていければいい」と言うBさん。彼らに“安住の地”は必要ないようだ。

(イラスト/うんのさとる)

■週刊プレイボーイ22号『ああ、ノマドはつらいよ実例集』より

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