ここ数年、ファミレスの新たな人気形態となっているのが「ステーキ&サラダバー」だ。通常のステーキやハンバーグで「サラダバー(サラダバイキング)セット」を選ぶと、サラダだけでなくスープ、カレー、デザートなどのサイドメニューが食べ放題になるサービスだ。

火付け役は、新興の外食チェーン「エムグラントフードサービス」が展開する「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」。そして人気の最大の理由は、もちろんお得感だ。外食産業新聞社の担当記者が語る。

「過去にもサラダバーがあるステーキ系ファミレスはありましたが、基本的に食べ放題はオプション扱いで別料金。結局、客単価は2000円近くになってしまい、ファミレスにしては割高な印象が否めませんでした。ところが、けんはほかのチェーンのファミレスが撤退した物件を居抜きで活用したり、セントラルキッチンを持たずに運営したりと徹底したコスト削減を断行。その結果、食べ放題付きのメニューでありながら、客単価を1000円程度に押し下げることができたのです」(前出・記者)

日本における「ステーキ&サラダバー」の草分け的存在といえば、アメリカ発のレストランで、東京を中心に展開する「シズラー」を思い浮かべる人も多いだろう。だが、味もハイグレードなら、店内もオシャレな「シズラー」は、ランチサラダバーでも2000円弱。これに対し「けん」は、徹底したコストカットにより、代表メニューの「けんステーキ」ならサラダバー付きで1365円という低価格を実現した。

サラダバーという既存の形態ながら、思い切った安さで勝負に出たところ、「けん」は大当たりしたというわけだ。この動きにメジャー系ファミレスチェーンも黙ってはいなかった。フードライターの岡本浩一氏が語る。

「まったく同じ業態で参入してきたんです。老舗のすかいらーくグループは既存店を次々と『ステーキガスト』に変えて、わずか2年間で約150店舗も出店。ロイヤルホールディングスは、今年3月から『カウボーイ家族』の全国展開を始めています。さらに、もともとサラダバーを提供していた『ビッグボーイ』も、大半の店舗をけんと同じ価格帯にリニューアル。メジャー系が本気になった今、市場規模はますます拡大していくはずです」

一時は元気がなかったファミレス業界。今は、「ドリンクバー」&「ステーキ&サラダバー」というお得感で、その名のとおり「ファミリー」外食で復権を遂げつつある。

(取材/高篠友一)

■週刊プレイボーイ22号で、B級グルメ研究家の柳生九兵衛氏が各店舗の「ステーキ&サラダバー」を食べ比べしています。

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