建設機械編

業界トレンドNEWS Vol.130

新興国の経済成長に伴い業績回復している競争力の高い業界の不安要素は?


■世界市場における日本企業の存在感は大。新興国に勝つため、各社は技術革新を進行中

建設機械メーカーが手がけているのは、油圧シャベル、トラクター、クレーン、ブルドーザー、道路舗装機械などの製造・販売だ。このうち、油圧シャベルとトラクターで、全出荷額の50パーセント強を占める。この業界では、世界的に高い競争力を誇る日本企業が数多い。特に油圧シャベル機などの分野では、世界シェアの多くを日本企業が占めている。代表的な日本企業としては、コマツ、日立建機、コベルコ建機などが挙げられる。外資系企業としてはキャタピラー(アメリカ)、ボルボ(スウェーデン)などが有力だ。

日本建設機械工業会によれば、2009年の建設機械出荷額は1兆1583億円。リーマン・ショック後の景気低迷により、対前年比で55.3パーセントもの大幅な落ち込みを記録した。しかし、10年には1兆8489億円(対前年比59.6パーセント増)、11年には2兆2327億円(対前年比20.8パーセント増)と挽回。まだリーマン・ショック前の水準には戻っていないが、順調な回復ぶりだと言える。なお、11年における出荷額のうち、国内向けはわずか26.7パーセント。一方、03年の輸出割合は51.0パーセント、07年は65.4パーセント、そして11年は73.3パーセントだった。日本企業にとって、海外市場の重要度は年々高まっているのだ。

このように、新興国の成長を追い風に業績回復している日本企業ではあるが、不安要素もないわけではない。中国の金融引き締めによる景気減速や、長期化している円高は大きな懸念材料。また、躍進している新興国の地場メーカーも、日本企業にとって脅威となっている。例えば、韓国メーカーの斗山インフラコアは、12年までに世界3位の油圧シャベルメーカーを目指すと経営計画で打ち出している。また、中国の三一重工は中国で大きなシェアを獲得する一方、東日本大震災の復旧・復興需要をとらえて日本市場への参入を加速中だ。

外資系に打ち勝ち、グローバル市場でのシェアを確保するために、日本企業はさらなる技術開発に取り組んでいる。低コストを武器に攻勢をかける新興国メーカーに対抗するためには、技術力をベースに差別化を図り、値下げ攻勢に巻き込まれないことが必要だからだ。そこで、まず知っておきたいキーワードは、「ICT(InformationandCommunicationTechnology)の活用」だ。代表例としては、コマツが開発した「KOMTRAX」が挙げられる。これは、建設機械の情報を離れた場所から確認するためのシステム。GPSの技術を使い、車両の位置や稼働時間、稼働状況などをチェックすることで、稼働率向上や維持費低減などを図ることができる。

また、「環境対応」も重要なキーワード。中でも注目されているのが、動力にディーゼルエンジンと電気モーターを併用した「ハイブリッド油圧ショベル」だ。日立建機の「ZH200」やコマツの「HB205/215LC」などの新機種が発売され、世界市場に投入されている。これまで、こうした高付加価値商品は先進国をターゲットとしていたが、今後は新興国市場での拡販も期待できるだろう。