「幸せを買うことはできないというやつは、子犬を忘れている」

愛犬家としても知られるアメリカの作家ジーン・ヒルの言葉です。犬という存在は万国共通、人間にとって生活の中の癒しであり、最良のパートナーであるとも考えられています。なぜなら犬はとても利口で、時にはまるで人間である私たちと心が通じ合っているような振る舞いをしてくれるから。しかし、そんな犬たちはいつも何を感じ、何を考え、何を思いながら生活しているのでしょうか。

 その問いに答えてくれるのが、心理学や動物行動学の専門家であり自身も大の愛犬家であるアレクサンドラ・ホロウィッツ氏の著書『犬から見た世界 その目で耳で鼻で感じていること』。著者は認知科学を駆使し8年の年月をかけ、犬が見ている独自の世界や、感じている感覚を研究してきました。同書はその研究の成果をわかりやすい言葉でまとめた一冊です。

 しばしば私たちは犬の行動や表情を人間のもののように解釈することがありますが、著者は作中でまずこのように犬を「擬人化」することに疑問を投げかけます。ホロウィッツ氏によると犬たちは、元来持つ優れた嗅覚、そして聴覚によって人間が想像すらできなかった「環世界」という独自の世界で生きていると言うのです。

 例えば、私たち人間は他人の怒りや不安といった感情をその人の顔の表情から読み取ることができます。一方で犬は、人間の感情の動きを"匂い"で察知するのだそうです。人間は危険や恐怖を感じた時、人が知覚することのできないアドレナリンや汗を発散しており、嗅覚の優れた動物である犬は視覚よりもその微かな匂いに反応するのだとか。著者はこのような事例を多く挙げ、「人間が世界を見るように、犬は世界を嗅ぐ」のだと主張します。

 我が家の犬が何を考え、感じているのか――。本書を読めば興味深い「犬から見た世界」を垣間見ることができます。



『犬から見た世界―その目で耳で鼻で感じていること』
 著者:アレクサンドラ ホロウィッツ
 出版社:白揚社
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