強くて温かいチームを目指し地域の人々に役立ちたい

ビジネスパーソン研究FILE Vol.168

株式会社伊予銀行 高木洋介さん

アットホームで地域密着型の伊予銀行ならではの提案を目指す、広島支店支店長代理の高木さん


■入行2年目で地元を代表する企業の会長と信頼関係をつくり、仕事の喜びを実感

「身近な人たちの笑顔を見ることが、自分にとって一番の幸せ」。そう考え、高木さんは地元で身近な人々の役に立てる地方銀行、伊予銀行を選んだという。

入行後に集合研修を受けた後、本店営業部に配属。銀行には、「窓口での業務」「融資」「営業」という3つの業務があり、ジョブローテーション形式でそれぞれの業務を学んでいったという。
「最初の3カ月は、窓口の業務を担当し、口座の開設や諸手続きなど、業務の基本を学びました。学生時代は『大体何時くらいまでに』『大体いくらぐらい』というアバウトな感覚でも許されるものですが、銀行の業務においてはもってのほか。お客さまにとって、預金は信頼のバロメーターでもあり、命の次に大切なお金を預かっているので、どんな細かいことだろうと『大体』で済ませることは絶対にしてはならない。すべてにおいて『常に100パーセントの対応ができるのは当然』であり、『どんなごまかしもしてはいけない』という意識を徹底的にたたき込まれました。学生時代はアバウトだった自分ですが、まずここで仕事への姿勢が大きく変化しましたね」

その後、高木さんは融資担当となり、住宅や車などの個人ローンの窓口対応を学んでいく。営業担当者が持ってきた案件の手続き処理などを行った。その際、先輩社員から「住宅ローンには銀行業務のすべての基本が入っている」と言われたという。
「人にお金を貸すとき、『何に使う目的なのか』『いくら貸すか』『どうやって返してくれるのか』などを判断するもの。それこそが、融資をするかどうかを決める与信判断の基本中の基本と言えます。バックヤードで手続き処理を行う中、『早く先輩のようにお客さまから仕事を取ってくる立場になりたい』という思いがどんどん強くなり、常に『このお客さまに貸せるか、貸せないか』を自分なりに必死で考え続けていました。この経験は、企業に向けた融資を手がけるようになってからもとても役立っています」

約1年間の経験を積んだ後、高木さんは念願の営業となり、本店のある松山市内の東部エリアを中心に既存の顧客を担当する。
「メインの仕事は顧客企業の集金業務で、定期的に訪問して売り上げ金を回収していきました。新人には営業目標は課せられていませんでしたが、張り切って新しい仕事をもらおうとするあまり、『信頼関係ができてもいないうちからお願いしてくるとは何事か』とお叱りを受けることもありました。振り返ればこの時に、マナーから人間関係のあり方まで、お客さまに教えていただいたと感じます」

高木さんは自分も先輩たちのように役に立ちたいと思い、決定権を持つ社長に会うため、足しげくさまざまな企業に訪問を続ける。特に、地元を代表するある企業を創業した会長にはなかなか会うことができず、自宅まで年始のあいさつに出かけるまでしたという。
「この時はお会いできなかったけれど、後日、『この日のこの時間に訪ねてきて』という連絡を受けました。当日は緊張しましたが、会長は会うなり『お前が高木か』と笑顔で迎えてくださって。そこから一緒に飲みに出かけ、盛り上がって意気投合、『何か困ることがあったらワシのところに来い』とまで言ってくださったんです。入行2年目の名も知れぬ行員だった自分を認めてもらえて、本当にうれしかった! 以来、親しくお付き合いさせていただくようになり、この出会いそのものが私にとっての大きな自信になりました」

信頼関係をつくる手応えを感じるようになった高木さんだったが、入行3年目に新宿支店への異動が決まる。ここから高木さんの試練の日々が始まった。
「新宿支店は、第一線でバリバリ働く精鋭部隊だと聞いていたので、そこで働けることを誇らしいと感じる半面、不安も大きくありました。予感は見事に的中し、自分と先輩たちのレベルの違いに唖然とするばかり。異動当初の1年半は融資を担当し、顧客の財務分析を手がけましたが、新宿支店のお客さまはとにかく業界や業務が幅広い。それぞれの業界に対する深い知識が必要となりますが、自分の力不足を痛感。自分なりに頑張ってやってきたつもりだったけれど、それではまるで歯が立たず、まだまだ足りないのだと思い知らされました」

本店にいたころは先輩たちがフォローをしてくれたが、ここではもう一人前の扱い。甘えはきかず、自分で何とかするしかない。高木さんは業界動向の知識や見解を身につけるため、昼夜を問わず必死で勉強を続けていった。


■遺言信託のエキスパートとして活躍した後、広島支店へ。支店長代理として、営業部隊をまとめる

融資担当として一人前になるべく、必死で勉強を続けた高木さん。1年後には融資案件を持ってくる営業担当の先輩社員に対し、与信判断への提案や指摘を対等にできるようになったという。
「ちょうどそのころ、厳しく指導をしてくれた上司が異動をすることになりましたが、『高木はこの一年でよくここまで成長した』と声をかけてくれて。叱られてばかりだった上司に認めてもらえて、ようやく一人前になれたと感じましたね。しかし、同時に『バックヤードではなく、早く営業として活躍したい』という気持ちもありました」

高木さんが営業担当となったのは新宿支店に配属されてから1年半後のこと。法人担当として既存顧客40社との取引を手がけると同時に、新規開拓も行うことに。千代田区、豊島区、さらに文京区と北区の一部のエリアを任された。
「新規開拓では飛込み営業をひたすら続けました。しかし、『伊予銀行』自体を知らないケースも多く、門前払いを食うこともしょっちゅう。社長の出社時間を教えてもらおうと考え、受付に何度も通うなどの努力をしました」

出入り口で社長を待ち伏せ、何とか名刺を渡す機会をつくり、面識を深めながら提案のチャンスをつくったという。さらに事業計画や業務・財務の状況などを聞き出したうえで提案を行い、取引につなげていった。
「ガムシャラに頑張るうちに、新宿支店における取引案件数では支店内営業のトップになりました。が、何よりやりがいを感じたのは、お客さまの事業に必要な資金を融資し、役立つことへの実感でした。『お金』は、お客さまが事業を行うために必要不可欠な、血液のようなもの。そのため、こちらは取引していただいている立場なのに、お客さまから『ありがとう』というお言葉を頂けるんです。大きなやりがいを感じると同時に、お客さまの信頼に応えるために自分の知識や見解をより深め、さまざまなアドバイスをしていけるようにもっと頑張ろうと思いました」

高木さんに新たな転機が訪れたのは、2006年のこと。研修員としてみずほ信託銀行に派遣され、遺言信託についてのエキスパートを目指すことになる。
「当時から伊予銀行はお客さまへの総合的な提案を目指していました。遺言信託という新しい商品のノウハウを銀行業務に取り入れていくために、私が銀行の代表として学ぶことになりました。遺言書の作成方法や相談対応のやり方、法知識などを習得する中、メガバンク系列で働く人々の仕事に対する意識の高さやスピード感に刺激を受けましたね。しかしその一方で、地域密着型の伊予銀行には『お客さまとアットホームにつながりを持てる』という素晴らしさがあるのだとあらためて実感できたんです。早く戻って、地元で役に立ちたいと思いました」

約2年の研修期間を終えた後、高木さんは伊予銀行の本店に戻り、法人営業部(現ソリューション営業部)に配属された。そこでは遺言信託実務のエキスパートとして本部渉外を担当する。
「M&Aやシンジケートローン(※)など、さまざまな分野で学んだエキスパートたちが集まり、行内全体に新たなサービスや商品を広めていく部署です。私は遺言信託を専門とし、サービスの販売経路の普及や、行内に浸透させるための宣伝活動、エリアごとの勉強会の実施などを手がけました。また、全国各地に出張し、遺言信託に興味を持つお客さまへの営業に同行し、提案のサポートもしていました。営業担当者の大事なお客さまに会わせてもらうわけですから、このチャンスを絶対に次につなげ、彼らの思いに報いたかった。事前に綿密な分析をし、お客さまに役立ちそうな情報を収集していきました。いつも鞄がパンパンになるくらい資料を準備していましたね(笑)」

(※)複数の金融機関が同一の契約に基づき融資を行うこと。

一発勝負の緊張感の後、お客さまから「また次回も来てほしい」と言われる瞬間には何とも言えないやりがいを感じたという。
「人の役に立っているんだという実感を肌で味わいましたね。伊予銀行を選んで良かったと思っていただくため、一歩も二歩も進んだ提案をしていくことが大事ですし、そのためにはお客さまの潜在的なニーズをくみ取り、さまざまなサービスや商品を活用することが必要です。お客さまの人生や企業の経営のあらゆる局面にかかわることができるので、サポートできることは無限大にある! この仕事ならではの面白さだと思います」

現在、高木さんは広島支店に異動し、これまでの経験を生かして支店長代理として現場をとりまとめている。一通りの都市銀行、地方銀行の支店がある広島は、中国地方の中でも最も競争が厳しいエリアと言えるが、高木さんは営業部隊をまとめ、伊予銀行ならではの提案をしていけるよう努力を続けている。
「私の下には7名の営業がいますが、声をかけあい、知恵を出し合うチームワークで、どの銀行よりも努力を続けていると自負しています。営業と本部の連携が強いので、いろいろな提案に挑戦できる面白さがありますし、当行は人と人とのつながりが本当に深いので、『君に任せるよ』と言っていただく大きなやりがいをいつも感じていますね。みんなと一緒に広島で最強のチームを目指します! 強くて温かい。そんな営業部隊をつくりあげていきたいと思っています」