「中国を侮辱」とスクエニ提訴、上海の描写やゲーム内容を問題視。

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中国のある弁護士が先日、2010年に発売されたゲームソフトの描写などを巡り、発売元のスクウェア・エニックスと開発会社を相手取って訴訟を起こした。上海を舞台にしたゲームの内容が「中国と中国人を大いに侮辱した」というのが訴訟の理由。この話題は多くの中国メディアが伝え、同国のネットで物議を醸しているようだ。

中国紙法制晩報などによると、問題になっているのはスクウェア・エニックスが2010年8月、プレステ3とXbox360向けに発売したソフト「ケイン アンド リンチ2 ドッグデイズ」。同社傘下のデンマークのIOインタラクティブが開発した同作は、2007年(日本版は2008年)にリリースされた「ケイン アンド リンチ:デッドマン」の続編で、2人のマフィア(ケインとリンチ)を主人公にした“撃ちまくり、暴れまくり”の爽快なアクションゲームとなっている。

そんな同作が中国で訴訟問題にまで発展したのは、同作が上海を舞台にしており、一般人への銃撃を自由に行える点や、街並みの一部をとても汚らしく描写している点などを問題視したため。これらが「中国と中国人を大いに侮辱した」というのが原告の主張だ。

訴訟を起こしたのは北京在住のある弁護士。この弁護士は4月下旬、中国のネット掲示板で「中国人を殺すゲーム」との書き込みを発見した。内容を確認すると、それが「ケイン アンド リンチ2」のことで、そこにはゲーム内の“問題点”が多く記されていたという。実際、弁護士がネットユーザーの助けを借りて収集したキャプチャー画像には、中国語の意味不明な言葉、標語の改ざん、汚すぎる貧民窟の描写など、中国人である弁護士にとって「耐えがたい内容」のものを数多く確認。中でも中国の一般市民を自由に銃撃できるシステム(日本版では不可)は、ネットユーザーから“中国人殺戮ゲーム”などと指摘されている通り、受け入れ難いものだった。

ちなみに、同作が中国で物議を醸したのは今回が初めてのことではなく、発売直後にも問題視された経緯がある。ただ、そのときは訴訟にまでは発展しなかった。今回は弁護士が実際に動いていることもあり、事態が複雑化。弁護士は「ゲームに登場する中国人の描写はマイナスイメージばかりで、中国と中国人をバカにしている。現実からかけ離れており、中国を誤解させる」と激怒すると共に、「私は弁護士であり、中国人の権利を守る義務がある」と、IOインタラクティブとスクウェア・エニックスに対して、謝罪要求や名誉回復、精神的苦痛を受けた慰謝料として1万元(約13万円)の損害賠償を求めた。

現時点で裁判所がこの案件を受理するかどうかはわかっていないが、弁護士は「この件で私が勝訴すれば判例ができ、ほかの人も訴えることができる。中国を侮辱した外国企業に大きな打撃を与えられる」と自信を示している。実際、ネットでは「ケイン アンド リンチ2」の発売元が日本企業ということもあり、歴史問題と絡めた怒りの声が噴出している状況だ。

なお、中国メディアがソニー中国やマイクロソフト中国、スクウェア・エニックス中国などを取材したところ、「私どものハード(ソフト)は中国大陸内で正式発売しておらず、現状では見解を申し上げられない」という趣旨の返答を受け取ったとのこと。また、IOインタラクティブには、取材意図を伝えたところすぐに電話を切られてしまったそうだ。