横浜DeNAは、ゴールデンウイーク限定(1日〜6日・1試合50枚)で「全額返金!?アツいぜ!チケット」という企画を実施した。

チケットは1枚4000円で、観客は試合の満足度を自己申告して返金を求められることになっていた。敗戦の場合は最大4000円、勝利と引き分けの場合は半額まで返金可能。
その結果、デイリースポーツによると

【6日間の内訳】
◇1日ヤクルト戦。0‐7で敗戦。50人に計19万3000円。
◇2日ヤクルト戦 雨で中止
◇3日ヤクルト戦。3‐1で勝利。49人に計8万3000円。
◇4日中日戦。3‐3で引き分け。48人に計8万6500円。
◇5日中日戦。12‐1で勝利。28人に計4万6000円。
◇6日中日戦。4‐2で勝利。38人に計6万1500円。
◆合計 5試合でのべ213人に47万円を返金。



この企画は、二重に失礼だと思う。

まず、選手、監督に失礼だ。乏しい戦力とはいえ、中畑清監督以下選手は全力で試合を戦っている。勝とうが負けようが、彼らは野球人生、生活が懸かっているし、プライドもある。彼らの試合を何の資格があって、値踏みするというのか。すでに年俸や、様々なランキングで評価されているプロフェッショナルを、何を根拠にさらに評価しようというのか。

さらに観客に対して失礼である。「顧客満足度」という漠然とした言葉以外、確たる基準も示すことなく、返金可能なチケットを売る。購入したものは、試されているのである。素人に試合を評価せよと迫っているのである。様々な逡巡があったと思う。返金を求めるべき内容だと思っても、それをためらうこともあっただろう。逆に良い試合だと思っても、金を払わない人もいただろう。楽しかっただろうか。

DeNA側は「遊びだ」というかもしれない。だとすれば全く面白くない、最低の遊びである。生身の人間、生身の試合を、当の主催者がくだらない「遊び」のネタにしたのだ。

DeNAのもばげーや、GREEなどソーシャルゲーム業界は、「コンプガチャ」という手法が違法性があると判断されそうな状況だ。有料ゲームを公開する側が、ほんのちょっと設定を変えるだけで、売り上げが急伸する。その先端、エンドユーザーは数万円、数十万円もつぎ込んでいる可能性があるのだが、運営する企業側は、そこまで想像をすることはなく、遊び気分で設定を変えている。消費者を弄んでいるわけだ。

同じ感覚を、プロ野球に持ち込まれるのはまっぴらごめんだ。観客(消費者)や、野球ファン、そして野球選手、監督についてその気持ちや文化、歴史をきちっと尊重して営業活動をしてほしい。遊び半分で、無邪気に、無責任にマーケティングをしてほしくない。