アパレル編

業界トレンドNEWS Vol.129

電力不足の影響がアパレル業界にどう関係した?グローバル化の兆しは?


■駅ビルや人気ファッションビルなど、有力な販売チャネルの開拓が成長の鍵に

経済産業省の商業販売統計年報によると、2011年におけるアパレル小売業の年間販売額は、約10兆7900億円。ピーク時だった1991年(年間販売額15兆2800億円)に比べ、市場規模は3割ほど減っている。ただし、09年の10兆2800億円、10年の10兆6400億円と比較するとやや増加傾向。背景には、環境省が中心となって推進している「スーパークールビズ」により、夏物衣料のニーズが増えたことがあると見られる。今後は、原子力発電所の稼働停止による電力不足が懸念されているため、しばらくクールビズ・ウォームビズ需要が期待できるかもしれない。

アパレル業界は、メーカー・卸・小売から構成される。ただし近年では、利益の向上を目指して企画から販売までを一貫して担う「SPA」(SpecialitystoreretailerofPrivatelabelApparel)に移行する企業が増加。メーカーが小売店を運営したり、逆に小売が衣服の企画・生産に乗り出すケースが目に付く。また、販売チャネルの面でも大きな変化が起こっている。以前は大きな存在感を示していた百貨店は、売り上げの減少に歯止めがかからない状況。小売店は百貨店に対し、売り上げに応じた歩合を賃料として支払うケースが多いが、このところ、賃料が引き下げられるケースも生じているようだ。一方、都心部の路面店に代表される「専門店」や、駅ビルや駅近くのファッションビル、地方の大規模ショッピングセンターといった販売チャネルは拡大傾向にある。各社はこぞって、有力な駅ビル・ファッションビルなどへの出店を目指しているところ。こうした販売チャネルの開拓力が、成長の鍵を握っている。

ネット通販の拡大も、ここ数年のトピックスだ。スタートトゥデイが運営するアパレル系通販サイト「ZOZOTOWN」を筆頭に、「Stylife」(スタイライフが運営)、「magaseek」(マガシークが運営)、「マルイウェブチャネル」(丸井が運営)、「ファッションウォーカー」(ファッション・コ・ラボが運営)などの通販サイトが急成長を遂げている。また、メーカーが自社の通販サイトを充実させたり、有力なECサイトに積極進出したりするケースも増えている。

アジアを中心としたグローバル市場への進出も、大手企業を中心に取り組みが進んでいる。代表格は、「UNIQLO」を展開するファーストリテイリング、「GLOBALWORK」を展開するポイント、「earthmusic&ecology」を展開するクロスカンパニーなど。とりわけ中国市場は、日本のレディースファッション誌の人気が高い、日本と気候が似ているなど、国内企業にとって参入しやすい条件が多い。

新製品の企画・開発力を高めることも、各社にとって大きな焦点だ。ファッションのサイクルは早くなり、消費者の好みも細分化が進む一方。そこで、流行の波をいち早くキャッチし、商品開発から市場投入までの期間を短くすることがますます重要になっている。また、多彩な商品を短期間で市場に送り出すため、ODM(OriginalDesignManufacturerの略。他社に企画・製造してもらった製品を自社ブランド名で売り出すこと)やOEM(他社に製造のみを委託し、できあがった製品を自社ブランド名で売り出すこと)で商品を調達する企業も少なくない。ただし、ODM・OEMに頼りすぎると、ブランドの独自性が失われる危険性もあると言われている。