日本代表の溝江明香。長期海外合宿、ワールドツアー転戦とハードスケジュールにも関わらず、順調に決勝に進んだ。決勝は「相手もミスが少ないので、そこをいかに上回れるかです」
 ビーチバレー国内ツアー開幕戦スポーツクラブNASオープン第2日目は5日、お台場海浜公園(東京都)にて催された。男女とも第1日目、2日目の午前中は予選プール戦が行われ、4つのプールの1位が午後からの準決勝へ進出した。

 男子準決勝は昨シーズンの年間総合チャンピオン、井上真弥・長谷川徳海組(ペボニア・ボタニカ)が日本代表の青木晋平(フリー)・今井啓介(フリー)組をストレートで下した。同じく代表の朝日健太郎(フォーバル)・白鳥勝浩(湘南ベルマーレ)組は試合前のウォームアップ中、朝日が以前から故障していた腰の痛みを訴え準決勝を棄権した。

 女子は注目の新チーム、浦田景子(フリー)・浅尾美和(エスワン)組は予選を突破。しかし準決勝では日本代表の田中姿子(エコ計画)・溝江明香(産能大)組にストレートで敗れた。また浦田聖子(千の花)・西堀健実(丸善食品工業)組も決勝に進出している。

 5月となり、ようやく国内のビーチバレーシーズンの幕が開いた。今季は2ヶ月半後にはロンドンオリンピックを控えている。その出場権を争う五輪アジア予選は6月中旬。日本代表はチームを作り込み、ほぼ出来上がった状態での国内開幕となる。他のチームも、その急かされた状況と目に見えない緊張感の中、どうオフシーズンを過ごしてきたか披露する開幕である。

 女子代表チームの田中・溝江組は3月の初めから1ヶ月半、ブラジルで合宿。ワールドツアーもブラジル、海南島(中国)、上海と3大会を転戦してきた。

 田中は話す。「ブラジルでは、海南島大会でも優勝したブラジルチーム(世界4位)と一緒に練習した。もっと変わったことをするのかなと思ったけが、彼女たちは基本的な技術をひたすら繰り返していた。自分たちもシンプルに、ヘンなことにこだわらず。色々なことに目がいきすぎてはいけないと思う」レシーブやトスなど形や完璧さと求めるのではなく、上げる、入れるなどもっとプレイを簡素化していきたいと言う。

浦田聖子(左)西堀健実(右) 浅尾/浦田組 金田/村上組
(写真左から)浦田/西堀組、浅尾/浦田組、金田/村上組

西村/Casey組 井上/長谷川(徳)組
(写真左から)西村/Casey組、井上/長谷川(徳)組


 同じく代表の浦田(聖)・西堀組もブラジルで合宿。ワールドツアーでは2大会で17位となった。西堀は話す。「17位はオープン(ツアーの中で賞金の低い大会)なので。これからグランドスラム(賞金の高い大会)が続き、その中で結果を残せるか。世界で戦うには、相手を揺さぶるためにはサーブが重要となる。1セットに3本はエースを取れるように」

 実際、準決勝では第1セット終盤、重要な所でエースを取り、シーソーゲームの主導権を一気に引き寄せた。

 海外合宿、ワールドツアー転戦ですでにトップギアの代表チームに対し、他のチームはどうだろうか。

 予選を突破した新チーム、浦田(景)・浅尾組はレシーブも安定しており、強打中心の攻撃的チームとなった。浦田(景)は「準決勝で負けはしたが、手応えはすごくある。最後のツメが甘かっただけ」と話す。浅尾も「ちょっとだけ守りに入ってしまった。私たちは、のびしろがまだまだある」と笑顔で話した。

 男子の井上・長谷川組もブラジルで合宿。ワールドツアーも2戦出場した。井上は話す。「外国人の高さに慣れてきた。朝日さんやケーシーの高さも気持ち的に普通になってきた。僕らは攻撃的なチームに変化してきた」長谷川は「ブラジルではサーブをコースや打ち方など細かく練習した。相手の高さの利を消すためにはサーブで攻めないと。サーブのバリエーションを増やして変化をつけていく」と言う。事実、長谷川は数種類のサーブを打ち分け、ゲームのリズムを掴んだ。

 各チームのプレイスタイルや考え方の変化、オフに何をしてきたのか。オリンピックを控えているからなのか、例年以上に垣間見える開幕戦である。

主な結果は次の通り

□女子準決勝
田中/溝江 2(21-15,21-16)0 浅尾/浦田(景)
尾崎/草野 0(18-21,17-21)2 浦田(聖)/西堀

□男子準決勝
西村/Casey 2(21-0,21-0)0 朝日/白鳥(*棄権)
青木/今井 0(18-21,17-21)2 井上/長谷川(徳)

(取材・文=小崎仁久)

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