フィオレンティーナのデリオ・ロッシ前監督が、試合中にMFアデム・リャイッチを殴ったことについて、元イタリア代表監督のアッリーゴ・サッキ氏は、次のように話している。

「狂気の沙汰とは思わない。大変遺憾ではあったが、これは周囲の環境の結果だ。カルチョのシステムは行き過ぎており、すべてが行き過ぎると、それへの反応も生まれる。ただ、とがめられるべき行為をしたからといって、一人の監督を悪魔のように扱うことはできない。ロッシはとても素晴らしいプロフェッショナルであり、自分で後悔していることは確かだ」

「しかし、サッカー界における行き過ぎた緊張感を考えれば、今回のことも驚くことではない。もはや、完全におかしくなっている。我々はそれに気がついていないんだ。イタリアにおいてサッカーが、過剰への抑止力となり得る強力なルールを持つスポーツショーだったことはない。サッカーは社会的な要求で、何としてでも勝つ必要があるものだ。ずるをしたり、だましたりしてでもね。火薬庫にずっといれば、いつかは爆発する」

イタリア監督協会のレンツォ・ウリヴィエリ会長は、このようにコメントしている。

「選手の反応には気づかなかった、監督への敬意を欠くつもりはなかったはずだ、ユニフォームとチームへの絆を感じているからこそのことだ…そう言って、監督が選手たちの振る舞いを擁護しようとしたことが何度あっただろう。我々監督は常に、選手を守るために、その間違った態度や非常に挑発的な姿勢をも擁護しようとしてきた」

「だが、間違いを犯すこともある。昨日はロッシにそれがあった。だが、非常に緊張した中で、挑発されてのことだった。若者が目の前で拍手をするなど、大変な挑発だからね。ロッシは間違った。ひどいことではある。だが、焦点をそこだけに合わせるのは間違いだ。監督として間違ったリアクションではあったが、父親だったら平手ではたいていたことだろう」

かつてロッシ監督が率いたパレルモのマウリツィオ・ザンパリーニ会長は、驚いたと明かした。

「ロッシの行動には大変困惑した。ああいう反応をしたということは、監督は本当に神経をすり減らしていたのだろう。彼があのような反応をするとは思いもしなかった。今、彼にとっては非常につらいときだろう。特に映像を見返せばね。誰よりも自分が、間違いを犯したと分かっているはずだ。本能的に怒りでキレてしまったんだろう」

かつてブレッシアでアタランタのサポーターの侮辱に反応し、厳罰処分を科されたこともあるカルロ・マッツォーネ氏は、次のように語った。

「フィオレンティーナの現状によるストレスや緊張感、プレッシャーという点で、少しばかり情状酌量の余地はある。だが、我々はこういうイメージであってはいけない。選手を叩くようになってはいけない。(自身のブレッシァ時代のことは)別の状況だった。ローマ人としての私や、今ではいなくなってしまった母のことを言われたんだ。だが、私は決して、選手に手を出したことはない。選手には常に人として大きな敬意も払っていた」

現イタリア代表監督のチェーザレ・プランデッリ監督は、このように語った。

「緊張感や一定の状況への対処の仕方は人それぞれだ。もちろん、カルチョにとって今は良い時期ではないね」

なお、プランデッリ監督は自身の今後についても、次のようにコメントしている。

「日々仕事するのが恋しいね。だが、私の人生はずいぶんと良くなった。スタッフたちは毎日仕事したいと望んでいるかもしれない。でも彼らには、今を大切にしろといつも言っている。結果が我々全員の人生に影響するんだと分かっているからね」