家族や親友で人生をシェアするSNS「Path」。ビジネスモデルは未確立のようだ(Pathのプロモーション動画より)

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SNSには、さまざまな可能性がある。その一方で、積極的に親しくしたくない人とも関係を持たなければならない場面もあることに、リアル以上の煩わしさを感じる人もいるだろう。

「本当に近しい人とだけ、つながっていられたらいいのに」

そんな思いを抱く人たちが、ひそかに始めている新しいSNSがある。それが「Path(パス)」だ。現在のユーザー数は、全世界で200万人と公表されている。

「本当の友だち」だけなら150人で十分?

パスのコンセプトは「Stay connected with family & close friends」。家族や近しい友だちと(だけ)つながっていよう、という考えである。

一番の特徴は、フォローしあえる友人の数を150人までに制限していること(以前は50人だった)。これは、オックスフォード大学で進化人類学を研究するロビン・ダンバー教授の「ひとりの人間が安定した関係を結べるのは150人まで」という理論に基づいている。

パスのCEOを務めるデイブ・モリン氏も、「最上の友だち(best friends)」は5人、「いい友だち(good friends)」は15人、「近しい友だちや家族(close friends and family)」の50人、そのまた家族を含めても、せいぜい150人が限界だろうとしている。

モリン氏はフェイスブックの元従業員であり、パスのサービスは全体的にフェイスブック利用者の不満点をカバーしようとしている点が興味深い。

例えばパスでは、フェイスブック同様に「写真・動画」や「つぶやき」「今いる場所」「一緒にいる人」を投稿できるが、これに加えて「今聴いている音楽」や「起床/就寝」のステイタスも簡単に共有できるようになっている。

インターフェイスにも工夫がある。スマートフォンを右手で持ち、親指で「+」マークをタップすると、何を共有するかを選ぶボタンが扇型に飛び出してくる。この動きが利用者の間で好評だ。「就寝(sleep)」を選択すると画面にロックがかかり、「起床(awake)」を選択し直さない限りパスが使えなくなるのも面白い。友人とのやりとりで寝不足になる「ソーシャル疲れ」もなくなりそうだ。

スマホに最適化、パソコンからのアクセスに制限

フェイスブックでは他人の投稿に「いいね!」しか押せないが、パスでは「笑顔」や「驚いた顔」「ハート」「コメント」で反応することができ、細かいニュアンスを伝えられるのも楽しい。

ちなみにパスはスマートフォンに最適化されており、他のソーシャルメディアと連携していない限りパソコンからはアクセスできない。これがリアルタイムの交流を促すことになるし、友達以外からはいかなる情報も見ることができないのでセキュリティ上の安心感もある。

2012年3月にはアメリカで、ナイキと提携したプロモーションが話題になったという。ユーザーは自分のランニングを友人と共有できるようにし、天候状態を教えてくれるなど専用の機能拡張を行なった。実際、ユーザーにランナーが多いようだ。

パスを紹介する公式ウェブサイトでは、パスをiPhoneで操作する様子をフルHDの動画で見ることができる。直感的に使えるサービスということが伝わるものだ。

フェイスブックが利用者の生活に入り込みながら、次第に企業のマーケティングを忍び込ませつつあるのに対し、パスはネットらしい自由で個人的で親密な雰囲気をいまのところ保っている。機能面も含めSNSそれぞれの良さを使い分けて、活用していくことをおすすめしたい。(岡 徳之)