東京港大井埠頭、路線バスで「バース」を訪ねる小さな旅

写真拡大



今回ご紹介するのは、品川駅と大田市場を結ぶ都営バスの[品98]系統です。某日曜日。通勤需要がメインの品川駅東口バスターミナルは、閑散としています。その1番乗り場から、大田市場行き[品98]系統は発車します。時刻表を見ると、市場への路線らしく、平日朝の6・7時台は本数が多いですが、日中は1時間3〜4本、日曜日は1時間2〜3本といったダイヤです。また、早朝5時32分発のみ、最短コースで市場へ直行する急行便の設定があるのも、この路線の特色です。


路線図を見ると、この路線の経路の大半が大井コンテナ埠頭エリアであることがわかります。中でも、2号から6号までの「バース」というバス停が、異彩を放っています。早速この路線に乗って、バスで行く「バース」への小さな旅を楽しんでみたいと思います。

私を含め、たった3人の乗客を乗せたバスは、海岸通りから天王洲アイル駅付近を抜けると、京浜運河に沿って南へと走ります。左手には大きな火力発電所施設
が見えますが、バス停も品川火力発電所前、大井火力発電所前と続きます。そして品川清掃工場前を過ぎると、バスは首都高速湾岸線と新幹線大井基地への引込線、東海道貨物線などを一気に跨ぎ、いよいよ大井埠頭エリアへと入ります。


バスはコンテナターミナル西側の道路を走ります。大型トレーラーの通行を意識してのことでしょう、空港の滑走路のような広々とした道路が南へと続いています。今日は日曜日ということもあって、この広大な道路に車の影はほとんど無く、普段は大きく見えるはずのバスの車両が、このスケールに中ではミニカーのように小さくなって、道路の隅を淡々と走っています。狭隘道路をきりきりと走るバスの魅力とは真逆の面白さが、この路線にはあるといえるでしょう。

まずは2号バースのバス停です。因みに「バース」とは、船の停泊場所の意です。大井埠頭には北から順に1〜7号までのバースがあり、このうち2〜6号にバス停があります。他にもこの付近には、バンプール(コンテナ置き場)やシャシープール(トレーラーの車台置き場)といったコンテナ埠頭ならではのバス停があります。

右手に見えるのは、これも広大な東京貨物ターミナル駅で、全国の鉄道貨物の中心駅でもあり、日曜日で閑散としているようにも見えますが、時々電気機関車の往き来する音が聞こえてきます。貨物ターミナル駅の奥に新幹線の大井基地があるはずですが、目隠しの塀でもあるのか、しっかりとは見えません。

次の3号バースのバス停は品川駅方向のみの片側バス停です。地図を見ると、道路の左手にコンテナ埠頭公園と書かれていますが、公園らしい雰囲気は見えてきません。色とりどりのコンテナがうず高く積み上げられたコンテナ山脈そのものを、「公園」と表現するのも悪くありませんが。


道路脇にトレーラーが整然と並ぶ様子などを見ながら更に進むと、次は4号バースのバス停です。この付近では、コンテナ山脈もさらに険しく、そしてカラフルになってきます。コンテナに「MOL」とあるのは商船三井、「K−LINE」は川崎汽船、「MAERSK」はデンマークの海運会社です。国際色豊かなコンテナのロゴやデザインを観察してみるのも、面白いでしょう。


5号バースのバス停を過ぎると、右手に「みなとが丘ふ頭公園」の森が見え始め、やがて6号バースのバス停に到着します。広大なコンテナ埠頭エリアは間もなく終わり、その先は各企業の倉庫が集中する物流センターエリアとなりますが、今回の小旅行はここまでとしておきましょう。普段の生活では全く訪れる機会のない場所でしたが、これも東京の東京らしい風景のひとつであることは間違いありません。もう少し周囲を歩いてみて、コンテナ埠頭の雰囲気を堪能してから帰ることにしたいと思います。